Research Abstract |
1.昨年に引き続き,アンカリング力が架橋反応によって増加するポリビニルシンナメートにおいて,液晶材料によりラビング方向と平行に配向するものと,垂直に配向するものがあることを明らかにした。また,垂直および平行に配向するそれぞれの液晶を混合することにより,配向容易軸の変化と混合割合を検討した。一様な配向状態が得られない混合率では,アンカリング力は非常に小さく,TN配向処理の状態でもホモジニアス配向になる。そのような混合率前後でもアンカリング強度は減少している。したがって,ねじれ角を0-90度の間で変えることができる。紫外線照射によるアンカリング強度の制御を組み合わせることで,液晶分子配向状態を種々に変えることも可能になると考えられる。これは,グレースケールの光書き込みが行えることを示しているが,この状態では消去および書き換えは難しいことが予想される。 2.液晶分子配列シミュレーション:フランクの弾性体理論とラフェニの表面アンカリングエネルギー理論にもとづき,有限なアンカリング力での液晶分子配列状態を数値解析的に求めた。昨年はホモジニアス,90°TN配列において,白黒2値画像における擬似中間調表示特性の解析を行った。本年は,±45°のTN配向で白黒2値画像における擬似中間調表示特性の解析を行った。ホモジニアス・90°TN配列でねじれ弾性ひずみのさが非常に大きいため,2つのドメイン間の遷移領域が広くなり,面積階調の直線性が悪化する条件があったが,±45°TN配向は両方のねじれ弾性ひずみが等しくなるため,面積階調特性改善された。特に白表示部分の色彩に関しては,透過スペクトルがほぼフラットとなり,優れた白表示となることが明らかになった。また,書き込み表面のアンカリング力が弱い場合であっても通常予想される10^<-5>N/mのオーダーでは,特性がそれほど劣化しないことも明らかになった。
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