2009 Fiscal Year Annual Research Report
第4世代移動通信システム対応超小型非可逆伝送素子の研究
Project/Area Number |
21560355
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
山本 節夫 Yamaguchi University, 大学院・理工学研究科, 教授 (30182629)
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Keywords | アイソレータ / 非可逆伝送素子 / 非可逆回転素子 / 小型 / 移動通信システム |
Research Abstract |
非可逆伝送素子(アイソレータ)は、フェライト中での磁気モーメントの歳差運動と高周波磁場との相互作用を利用して、電磁波を1方向にのみ通し、逆方向への通過は阻止する、非可逆的伝送特性を持つ素子である。申請者は、容積比が世界最小サイズの現行製品の1/10で、集積化が容易な構造のアイソレータを提案している。本研究では、研究課題(1):この新提案のアイソレータを実際に試作して性能を実証すること、研究課題(2):次世代にあたる第4世代移動通信システム(IMT-Advanced)の規格に対応したアイソレータを提案すること、研究課題(3):この新提案のアイソレータの設計指針を確立すること、を目的としている。 アイソレータの設計には、3次元有限要素法にもとづいた高周波電磁界シミュレータを使用した。また、アイソレータの試作は、伝送線路の形成にフォトリソグラフィを用いて行い、試作した素子の伝送特性はマイクロプローバーとネットワークアナライザを用いて測定・評価した。平成21年度には、以下の研究成果を得た。 ◆研究課題(1)については、2GHz帯での素子について、1回目の素子試作と評価を行った。挿入損失が0.6dB程度の良好な特性を実現できる目処が立った。 ◆研究課題(2)については、動作周波数800MHzおよび1.5GHzにおいて非可逆的伝送特性を示す素子設計を行った。面白いことに、素子の構造および主要部の寸法はそのままでも、バイアス磁場の調整だけで所望の周波数において非可逆伝送特性を実現できることがわかった。このことはマルチバンド動作実現の可能性を示している。 ◆研究課題(3)については、バイアス磁場のみの調整でマルチバンド動作が可能なのは、本提案アイソレータの場合、バイアス磁場を低下させて動作周波数を低周波数側にシフトさせたときに、実効透磁率が増大するとともに、正円偏波と負正円偏波に対する透磁率の差が増大する傾向があるため、フェライト中を伝搬する電磁波は短い進行距離の中で大きく曲がることになり、素子サイズを大きくしなくても済むためであることが明らかになった。
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Research Products
(5 results)