2009 Fiscal Year Annual Research Report
共鳴トンネル素子によるミリ波帯モノリシックアイソレータの開発
Project/Area Number |
21560358
|
Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
須原 理彦 Tokyo Metropolitan University, 理工学研究科, 教授 (80251635)
|
Keywords | 共鳴トンネルダイオード / ジャイレータ / アイソレータ / 高電子移動度トランジスタ / ミリ波・サブミリ波 |
Research Abstract |
次世代のミリ波帯(30-300GHz)のモノリシック集積回路において伝送信号の逆伝搬抑制は回路の低雑音化・低歪化に必要不可欠である。従来アイソレータなどの非可逆素子が単体デバイスとして製品化されているが,デバイスサイズがセンチメートル級である点,磁性材料・金属導波管が必須である点から,半導体基板との集積一体化構成には整合しない。本研究では半導体集積回路上でモノリシックに構成可能な「非可逆素子を(アイソレータ)」を,磁性材料レスや導波管レスで集積構成する新原理を提案し,その動作実証を試みることを目的とする。本年度,ジャイレータ回路を共鳴トンネル型微分負性抵抗素子と電界効果トランジスタとの集積で構成し非可逆回路の設計の為に,エピタキシャル成長ウエハの設計・発注した。デバイスのバンド構造を自己無撞着な数値計算を用いて電流電圧特性を解析し,構造のマージン設計を行った。購入したウエハから共鳴トンネルダイオード単体部分のみであるがデバイス作製を行い,微分負性特性が室温で得られたことを確認した。モノリシック集積デバイスの特性設計においては,共鳴トンネルダイオードおよび高電子移動度トランジスタそれぞれに実測データのスケーリング値や文献値を参照にパラメータ設定をした上でアイソレータを構成した場合のアイソレーション特性と挿入損失の周波数特性を解析し,数百GHz帯までの帯域確保の可能性を示唆した。とりわけ,共鳴トンネルダイオードによる損失補償を行うことにより,一方向性「増幅器としての機能設計の可能性を有することも明らかにした。
|