Research Abstract |
本年度は,(1)簡易脳波計によるBCIの構成と評価,(2)メンタルタスクの組み合わせと分類性能の関係,(3)周波数分解能と分類性能,(4)ウェイブレットとサポートベクターマシーンによるBCIについて取り組んだ. (1)単一チャネルの簡易脳波計を用いてBCIを構成し,メンタルタスクの分類性能を評価した.3人の被験者及び3種類のメンタルタスクを用いて脳波を実測し,種々の実験を行った.簡易脳波計でも約70%の分類性能が達成できることを確認した. (2)メンタルタスク(MT)を大分類と小分類に分け,分類性能を調べた.大分類は「計算」,「スポーツ」,「物体の回転」の3種類.小分類は各大分類において以下の3種類とした,(計算:掛け算,割り算,引き算),(スポーツ:ボールを打つ,ボールを投げる,走る),(回転:バナナ,ぶどう,りんご).大分類から1個のMTを選び,計3種類のMTによるBCIでは63~83%の正答率が得られた.一方,一つの小分類の中にある3種類のMTを用いた場合は45~65%の正答率であった.このように,MTがかなり異なる場合と,似ている場合で分類性能に有意な差が見られ,今後,BCIにおけるMTの選択に対して有効な指針となる. (3)脳波をフーリエ変換した後,周波数分解の変換を行う.α波,β波などが分布する低周波数帯域で分解能を細かく,高周波帯域で粗くする.被験者により最適な周波数分解能は異なるが,MTの分類性能が63~83%から73~93%に向上した.周波数分解能の最適化がBCIに取って重要であることが分かった. (4)ウェイブレットとサポートベクターマシーンによるBCIについて検討し,ウェイブレットの分割数とMT分類性能の関係を調べた.また,時間区分に対する複数の回答を多数決する方法を提案し,MT分類性能を向上した.
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