2009 Fiscal Year Annual Research Report
高度農産物生産管理のための低消費電力無線センサネットワークの開発
Project/Area Number |
21560397
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Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
上原 秀幸 Toyohashi University of Technology, 工学部, 准教授 (00293754)
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Keywords | 無線センサネットワーク / 低消費電力 / MACプロトコル / ルーチング / クラスタリング / 相関性 / 農業 |
Research Abstract |
本研究では、農産物の育成管理を自動化するための低消費電力な無線センサネットワークプロトコルを開発することを目指している。開発するプロトコルは、複数の物理量(pH、土壌水分、土壌温度、電気伝導度(EC))の相関特性に着目して制御する。要素技術として、グルーピング(クラスタリング)アルゴリズム、および各グループ内のON/OFFスケジューリング法(スリープ制御)の開発を進めている。初年度は、非同期型MACプロトコルを基に、冗長なプリアンブル送信を削減し、適応的にスリープ時間を変更可能な擬似同期MACプロトコル(Pseudo-Synchronous Medium Access Control : PS-MAC)を開発した。これは、データ収集型の無線センサネットワークにおけるデータフローのほとんどが、各ノードから基地局方向であり、かつシンクまでマルチホップ通信を必要とすることを利用している。具体的には、ACKパケット内に次にアクティブ状態に遷移する時間情報を記載することで、特定の中継ノードとアクティブ状態の同期を取る。これにより、通信したいノードと円滑に通信でき、消費電力および遅延の削減が可能となる。さらに、PS-MACでは、スリープ時間を2の乗数倍に変更することと、スリープ時間をACKパケットとデータパケット内に記載することで、同期状態を崩すことなくスリープ時間を適応的に変更可能である。これにより、トラフィックの増減に順応して、高いパケット到着率を維持できるようになった。PS-MACの特性評価を行うために、組み込みハードウェア用のオープンOSであるTinyOSを用いて、住友精密工業製のneoMOTEにPS-MACを実装し、実機実験を行った。その結果、PS-MACは高いパケット到着率を維持しながら、X-MACに対して最大でライフタイムを3.2倍、遅延時間を88%削減できることを示した。さらに、得られた実験結果を基に、大規模ネットワークの計算機シミュレーションを行った。その結果、X-MACではキューオーバーフローにより、全体の約17%のパケットしか基地局に届けることができないにも関わらず、PS-MACは93%のパケット到着率を示した。そのような環境においても、PS-MACはX-MACに比べ、ライフタイムを約2.6倍、遅延時間を約90%削減できることを示した。
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