2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21560403
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
市坪 信一 九州工業大学, 大学院・工学研究院, 准教授 (30457452)
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Keywords | 電波伝搬 / 移動通信 / 移動伝搬 / 伝搬損失 / 伝搬遅延 / スケールモデル / 多重波伝搬 |
Research Abstract |
本研究の目的は無線通信の回線設計で必要となる電波の伝搬特性を解明する研究手法としてスケールモデルを用いる方法を確立することである。移動通信環境を対象にしてスケールモデルでの伝搬損失特性の再現性を検証している。平成23年度の成果は次のとおり。 1.理論モデルとの比較:都市のビル群を複数の平板と仮定してこの環境での伝搬損失を電磁界計算によって理論的に求めた多重スクリーン回折モデルがある。スケールモデルの基礎的な検討として、この多重スクリーン回折モデルの環境をコンクリートブロックで作製して伝搬損失を測定し、理論計算結果と比較した。測定周波数は10GHzで、作製したモデルは都市環境の1/100,2/100,3/100縮尺の3つである。測定値と理論計算値との差は標準偏差で2.4dBと小さく、スケールモデルを用いた測定値は理論計算値とほぼ同じになることが分かった。これにより単純な都市環境ではスケールモデルで伝搬特性を再現できることを明らかにした。 2.実環境との比較:実際の街で測定した伝搬損失と、実際の街のミニチュアであるスケールモデルを用いて測定した伝搬損失とを比較してスケールモデルの再現性の検証を行った。実環境は北九州市の小倉地区で測定周波数は150MHzであり、1/70縮尺の小倉の街のスケールモデルを作製して周波数10.5GHzで測定した。実環境の測定値とスケールモデルの測定値との差は標準偏差で4.9dBと小さく両者はほぼ同じである。このことからスケールモデルによって伝搬損失をある程度再現できることが明らかになった。 3.関連研究:スケールモデルの検証のためには実環境で精度のよい測定値が必要である。実環境での測定値の妥当性を確かめるため30,150,900MHzで伝搬損失を測定して周波数特性を検討した。また、将来的に伝搬遅延特性の再現性も検討するため伝搬遅延測定器の作製も行った。
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Research Products
(9 results)