2011 Fiscal Year Annual Research Report
多機能弾性波デバイスの電極構造解析と同時最適設計に関する研究
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21560432
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
田川 聖治 近畿大学, 理工学部, 教授 (50252789)
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Keywords | 最適設計 / 弾性表面波デバイス / 最適化手法 / 進化計算 / 差分進化 / 並行プログラム / マルチコアCPU |
Research Abstract |
本年度は、研究計画の最終年度である。当初の目標の第1項目に加え、第2・3項目を達成した。 1.弾性波デバイスの設計支援システムの開発と評価 過去2年間の研究成果の集大成として、弾性表面波(SAW)フィルタのシミュレータ、差分進化法を発展させた多目的最適化プログラム、主成分分析に基づく解析ツールを統合した設計支援システムを完成させた。設計支援システムはJava言語とMATLABで実装しており、SAWフィルタの構造設計を制約条件付き多目的最適化問題として定式化した後、多目的最適化プログラムによって求めたパレート最適解集合から、SAWフィルタの電気的特性と電極構造の関係が解析できる。また、平衡型SAWフィルタの構造設計に設計支援システムを用いることで、バンドパス・フィルタとインピーダンス変換の機能を同時に実現した。 2.多目的最適化プログラムの改良 設計支援システムの多目的最適化プログラムは、最新の進化計算の一種である差分進化法をベースとして、本研究を通じて独自に開発したものである。本年度は、昨年考案した非劣解の評価指標に対して、時間計算量が目的数の多項式オーダーとなる高速近似計算アルゴリズムを提案した。これにより、目的数が4以上の最適化問題でも、現実的な計算時間で高精度のパレート最適解集合が求められる。また、評価指標の近似値が厳密値の上限値となることの証明など、提案した近似値の定量的な性質も明らかにした。 3.マルチコアCPUを活用するための並行プログラムの開発 近年、複数のプロセッサ(コア)を搭載したマルチコアCPUが市販のパソコンにも採用されている。そこで、設計支援システムの実装においてマルチコアCPUを活用するため、Java言語による差分進化法の並行プログラムを開発した。並行プログラムは複数のスレッドから構成されており、それらのスレッドを異なるコアに割り当て並列に処理することで、差分進化法の計算時間を大幅に短縮することができた。
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Research Products
(11 results)