Research Abstract |
多チャネル多軸筋音図を計測するために,アナログ3軸加速度センサモジュールを9個と,直流成分を除去するための正帰還型2次ハイパスフィルタ(カットオフ周波数1Hz)およびゲイン6倍の非反転増幅回路からなる計測装置を作製した.被験者6名に対して,総腓骨神経を電気刺激して前頸骨筋に筋音図を誘発した.刺激強度は,MMGのpeak-to-peak値を指標とし,最大上刺激のときの値を100%として,20から100%まで20%刻みとした.刺激パルスはパルス幅500μs,刺激間隔500msの定電流パルスとした.サンプリング周波数は2kHzとした. 9個のセンサで得られたMMGについて,6,8,10次の伝達関数を算出した.得られた伝達関数を2次伝達関数に分解し,弾性要素,粘性要素および質量からなる2次系の力学モデルと対応させた.さらに粘性および弾性に対応する係数と収縮レベルの関係を解析した. 9個の伝達関数の適合率は,頸骨前縁からの距離に依存して変化した.適合率が高い伝達関数は,6,8,10次の全ての次数で良好に近似することができた.伝達関数の係数と収縮レベルの関係では,弾性を反映する係数が収縮レベルに対して有意な相関を示した.さらに,6次の伝達関数と8次の伝達関数のゲイン特性を比較したところ,MMGの主要な周波数帯域において,ほぼ一致した. センサの貼付け位置は,腓骨頭から外顆までの1/3の距離から30mm遠位まで,頸骨前縁から外側に10から25mmで計測すると低次の伝達関数でMMGを近似することができることが分かった.また,MMGのシステムは,6次の伝達関数で近似できることを明らかにした.これは従来の研究より低次の伝達関数によって記述できることを示しており,MMGの等価力学モデルをより簡単なモデルで記述して,筋の粘弾性を評価することができる可能性を示すものである.
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