2010 Fiscal Year Annual Research Report
多チャネル多軸筋音図によるヒトの運動制御における筋粘弾性調節機構の解析
Project/Area Number |
21560452
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
内山 孝憲 慶應義塾大学, 理工学部, 准教授 (50243324)
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Keywords | 筋音図 / システム同定 |
Research Abstract |
筋の収縮頻度と筋の粘弾性の関係を明らかにするために,総腓骨神経を刺激する頻度を1~10Hzまで12通りに変化させて前頸骨筋の筋音図を計測した。計測に用いた刺激頻度では,単収縮の連続から不完全強縮に対応する収縮となる.筋音図の計測には加速度センサを用いた.刺激パルスを入力とし,筋音図を出力するシステムの伝達関数を同定したところ,全ての刺激間隔で6次のモデルで記述することができた.6次の伝達関数を,バネ,ダッシュポットおよび質量からなる力学系の2次系のモデルに分解し,伝達関数の分母の係数を解析したところ,強縮へ移行するに従って増加するものと,ほとんど変化しないものに分類することができた.このことは,筋の能動的な成分と受動的な成分の弾性の変化を分離して推定できたことを意味する. 次に,肘筋を対象として,単一運動単位を随意的に収縮するときの筋音図のシステムを同定した.筋電図をトリガとして同期加算平均した筋音図のシステムを同定したところ,5次の伝達関数で記述することができた。前頸骨筋の筋音図の伝達関数より次数が1次低いが,これは肘筋が薄く小さな筋であるために,質量の影響が小さいためであると考えられる.また,伝達関数の分母の係数から,非減衰固有周波数を算出したところ,ヒトの様々な組織の機械インピーダンスの計測によって報告されている共振周波数と同程度の値が得られた.つまり随意収縮において単一運動単位の筋音図の伝達関数を初めて明らかすることができた.
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Research Products
(4 results)