2011 Fiscal Year Annual Research Report
害虫の網膜電位特性に連動した黄色LED光源による物理的害虫防除装置の試作
Project/Area Number |
21560453
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Research Institution | Kanazawa Institute of Technology |
Principal Investigator |
平間 淳司 金沢工業大学, 工学部, 教授 (40181185)
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Keywords | 害虫 / 網膜電位 / 物理的防除 / LED光源 / 加害調査 / 行動観察 / 黄色光 |
Research Abstract |
本研究では化学農薬に替わる害虫防除方法を模索しており、超高輝度黄色LEDの諸特性を積極的に利用した物理的な新しいタイプの害虫防除光源装置の開発を行っている。開発にあたり、特に農作物に被害を多くもたらす特定害虫種(オオタバコガ,ハスモンヨトウ)の光に対するERG(網膜電位)信号を計測し、そのデータに基づき、屋外の夜間での行動観察とを関連付けることにより、より効果的な防除方法の確立を目指している。夜間に連続照射することで、害虫の防除効果は見込まれるものの、夜間照明に伴い植物体の種類によっては生育障害を引き起こす場合もある。生育障害を起こさず害虫防除に有効な黄色LEDのパルス点灯の時間構造については明期20ms、暗期80ms、光強度は2lx(ルックス)から10lxが、ヤガ類であるオオタバコガとハスモンヨトウには光刺激の持続性が確認でき、さらに切り花のキクには開花遅延や生長阻害が無いことがほぼ判明している。本年度も前年度に引き続き、ERG信号の継続計測を実施し、可能な限り多くのデータを収集し、更なる信頼性の高い基礎資料収集を実施した。 今回は、ERG信号の諸特性の大量データーベースを構築し、特定害虫種に対する防除に有効な光源選択が瞬時に可能とした。将来的に大量発生しそうな害虫が予察可能な場合、これまでの蓄積データと照合することで、防除に有効なLED光源の設計提案を緊急情報発信する体制をほぼ構築することができた。そして、日本を始め世界中での共有財産として提供することも可能となった。 また、新たな取り組みとして、予備的であるが、ゴキブリの複眼の光受容特性である網膜電位(ERG信号)応答特性の計測にも成功した。今後の光線利用による物理的防除方法の見通しを得ることもできた。
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