2009 Fiscal Year Annual Research Report
高温・高速・高感度動作を実現する単一光子検出器に関する研究
Project/Area Number |
21560455
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
楠 正暢 Kinki University, 生物理工学部, 准教授 (20282238)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三木 茂人 情報通信研究機構, 主任研究員 (30398424)
岡井 大祐 兵庫県立大学, 大学院・工学研究科, 助教 (60336831)
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Keywords | 単一光子検出 / 高温超伝導 / ナノワイヤ |
Research Abstract |
高温超伝導(HTS)ナノワイヤを単一光子検出器として用いるためには、「十分薄い」、「十分細い」、「十分長い」、「十分な超伝導特性を持つ」ナノワイヤの作製法を確立しなければならない。この実現に向けて、技術的には「HTS薄膜の極薄膜作製法」と「ダメージフリーHTSナノ加工法」を確立することが必要である。H21度当初は、まず、再現性よくHTS薄膜(YBa_2Cu_3Oy:YBCO)を得るための最適条件の検討を行った。スパッタリング法を用い、MgO単結晶基板上に、100nm程度の膜厚で、完全c軸配向し、超伝導転移温度85K以上を示し、十分平滑な膜表面を有する成膜条件を得ることができた。次に、これを極薄化しても良好な超伝導特性を維持するためには、薄膜の成長開始直後のエピタキシーが重要であると考え、YBCOと、より格子整合のよいSrTiO_3およびNdGaO_3単結晶基板への成膜の検討も開始した。これと並行して、「広い面積で均一に細密メアンダ構造を実現する加工方法」を検討するため、電子ビーム描画条件の最適化を行い、100nm程度のラインアンドスペースを持ったメアンダパターンの作製が可能であることを確認した。さらに、数100μm□内に細密メアンダラインを折り込む場合に、超伝導特性の基板面内依存性を実測により評価できるよう、一定の周期で電極を挿入するパターンレイアウトの検討を行った。一方、ダメージフリーナノ加工プロセスに関しては、良好な超伝導特性を示すことにおいて、十分な再現性が得られておらず、プラズマエッチング時の冷却システムが十分機能していないことが明らかとなった。H22年度は、早急にこれを改善する必要がある。また、プラズマエッチングを基本としたトップダウン型プロセスよりも、劣化に対するリスクが低いボトムアップ型プロセスを新たに考案し、その実現の見通しを得ることができている。
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Research Products
(5 results)