2010 Fiscal Year Annual Research Report
アイセーフレーザを光源とする空間光通信網を利用した温室効果ガス計測システムの開発
Project/Area Number |
21560456
|
Research Institution | Fukuyama University |
Principal Investigator |
香川 直己 福山大学, 工学部, 教授 (80258300)
|
Keywords | 温室効果ガス / 空間光通信 / ガスフラックス / ネットワーク計測 / アイセーフレーザ |
Research Abstract |
通信インフラの整備に伴い,ビル間通信やラスト1マイル問題の解決手法として注目されている空間光通信(FSO : Free Space Optics)網を利用して,広い領域の地表から発生する二酸化炭素,メタンなどの温室効果ガスの接地境界層への輸送量(ガスフラックス)を無侵襲かつ実時間で測定できる計測システムを提案し,そのプロトタイプを運用することで,提案手法の実効性と問題点を明らかにすることを当該研究は目的とし,「(1)通信に支障をきたさない最適な吸収線の選択とその条件」の確定,「(2)通信容量とガス濃度計測精度の関係」の詳細な確認,そして「(3)波長多重通信方式による異種ガス計測の可能性」「(4)空間多重通信方式によるガスフラックス計測の可能性」を明らかにし,通信と計測を統合した新たな計測法の確立を図ろうとしている. 提案開発中のシステムは,通信距離数100mから1kmを想定し,副搬送波を用いた,BPSK方式を採っている.仕様計画では通信レート20Mbps,副搬送波周波数は400MHzとしている.平成21年度において,前述の仕様条件の下で,通信距離に対する通信使用におけるS/N, C/Nの関係とガス濃度計測におけるS/Nの関係を計算機シミュレーションし,最適なガス吸収線の条件を明らかにしたことを受けて,平成22年度は,1.6μm帯半導体レーザを光源とした実際のハードウエアの設計および製作に取り掛かった.しかしながら,目標とする性能が得られず,その点検,評価を経て,再度設計製作の作業に移ったところで当該年度の研究期間が終了した.このため、当該年度で計画していた2.0μm帯レーザの導入を次年度に見送ることとした. また,先のハードウエアの製作と並行して,測定空間(屋内、屋外の開放空間)の湿度,二酸化炭素の濃度の対照データを取得するための実験環境の整備及び,計測システムの構築を行った.これについても,当初の計画と鑑みて係る研究期間において不足を含むものになっている.
|