2011 Fiscal Year Annual Research Report
高速リフティングに基づく制御系設計・解析に関する作用素論的研究とその代数型拡張
Project/Area Number |
21560461
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
萩原 朋道 京都大学, 大学院・工学研究科, 教授 (70189463)
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Keywords | サンプル値系 / むだ時間系 / 離散時間系 / 周期時変スケーリング / 高速リフティング / 準有限ランク近似 |
Research Abstract |
本研究では,連続時間信号に対する高速リフティングを用いた制御系の解析・設計をむだ時間系やサンプル値系に対して展開すること,ならびに,類似の考え方を離散時間信号に対しても適用する方法を構築してロバスト制御の新たな視点を提供することを目指している.本年度の研究成果の概要は以下の通りである. まず,むだ時間系に対して,これまでに行ってきたモノドロミー作用素と作用素リアプノフ不等式に基づく安定解析法の拡張に取り組んだ.具体的には,むだ時間系の有限次元部分の不確かさに関するロバスト安定解析に関するものであり,これまでの研究で考えてきた静的な不確かさのみならず,動的な不確かさを扱う上での基本となる考え方を整備した.いわばモノドロミー作用素に関する有界実補題ともいえる理論的成果が重要な役割を果している. より扱いの容易な離散時間系を対象とした,非因果的周期時変スケーリング手法に基づく制御器設計法についても,実用性を検証するための研究を行った.具体的には、振子の長さを変更することのできる台車型倒立振子の実験装置において,振子の長さによらず単一の制御器で振子を倒立させる問題を考え,そのような制御器を設計する問題を静的な不確かさを有する制御対象に対するロバスト制御性能問題として定式化した.この問題に対する周期時変制御器を,上記のスケーリング手法に基づき数値計算により設計し,設計時に導入するリフティング周期(すなわち,設計される周期時変制御器の周期)を整数倍にして増加させていくとき,制御性能を単調に改善できるという理論的結果が実験によっても検証できることを確認した.これにより,この制御器設計手法の実用面での有効性を示した.
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Research Products
(12 results)