エトリンガイトの遅延生成によるコンクリートの劣化現象の解明

2009 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 21560479
• Research Institution: Iwate University
• Principal Investigator: 羽原 俊祐 Iwate University, 工学部, 准教授 (10400178)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 小山田 哲也 岩手大学, 工学部, 助教 (70361045)
• Keywords: コンクリート / 耐久性 / 膨張劣化 / コンクリート製品 / エトリンガイト / コンクリート製品 / 膨張

Research Abstract

DEF(Delayed Ettringite Formation:エトリンガイトの遅れ生成)について、そのメカニズム、評価方法、抑制方法の把握を目的に研究を行う。申請者は、これまで、同研究を実施し、モルタルにおける再現実験を実施し、再現試験方法を把握し、生起するための材料条件、養生条件などについても検討を行っている。得られた結果を総合して、DEFの発生メカニズム、DEFの発生予測と防止策の評価などの方法を提案する。
21年度は、(1)DEF現象の生起条件の精密な検討、(2)コンクリート製品の蒸気養生条件の影響、(3)モルタル及びコンクリートのDEFの劣化の類似性と相違性、(4)コンクリートのDEFによる膨張挙動及び応力解析の検討を行った。試験は継続しているが、得られた結果として、DEFには蒸気養生条件の影響が極めて大きい。生起する蒸気養生条件や材料条件を把握することができた。具体的には、コンクリート製品の蒸気養生における最高温度や加熱速度の条件が重要であり、70℃以上で、加熱速度が大きいほど、DEFは早期に大きな膨張として現れる。硫酸塩の種類としては、硫酸アルカリでは起こりやすく、石こう(二水・半水・無水)では、加熱速度が急激でなければ、DEFは緩和できることを見出した。これらの知見を総合し、蒸気養生前後でのコンクリート中エトリンガイトの生成量、分解量、分解後の硫酸イオンの形態が重要になることを見出した。ASRとDEFの劣化現象を比較し、それらが各々独立な現象であることを提案し、どちらの劣化現象が先行するのかなどについて考察した。21年度の研究成果の一部を、2010年5月開催の学会FRAMCOS(韓国)にて報告する予定である。