2010 Fiscal Year Annual Research Report
コンクリート内部構造のマルチスケールな空間統計量と巨視的材料物性の対応
Project/Area Number |
21560482
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
五十嵐 心一 金沢大学, 環境デザイン学系, 教授 (50168100)
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Keywords | 反射電子像 / 画像解析 / 電気伝導度 / 点過程統計量 / 相関関数 / 配合推定 / シミュレーション / 毛細管空隙空間構造 |
Research Abstract |
セメント系材料の様々な画像からの空間情報取得とその評価に主眼を置き,ミクロレベルの電子顕微鏡から,コンクリートの維持管理業務に関係して取得されるコンクリートコア断面レベルの等倍,低倍率画像まで,空間統計学に基づいた統一的な手法で,空間構造を定量的に評価した.さらに、そのようにして得られたマルチスケールな空間統計量とコンクリートの物性との関係を検討した.本研究にて得られた主な結果は以下のとおりである. 1. 骨材の混入により,非常に多孔質な領域が形成され,これはITZとは異なる特徴を持つ.また,この領域は物質移動特性に影響を及ぼすと考えられる. 2. 鉱物混和材の種類による電気伝導率の変化を,毛細管空隙の空間構造の特徴から説明することが可能である. 3. SAPの空間分布に関する特徴的な距離と自己収縮特性の対応から,水分移動距離(影響範囲)は高々200μm程度であると考えられる. 4. 選択的間引き過程と分割過程を併用することにより,材齢の進行にともなう毛細管空隙構造を点過程として再現することが可能である. 5. 材齢初期に生じた損傷は再養生により治癒し,電気伝導度は回復するが,力学的特性の回復は望めない,また,回復が認められる場合も,治癒しうるひび割れの残存セメント粒子からの距離は高々15μm程度と考えられる. 6. 実コンクリートコアにおいて、中性化の進行にともなう組織変化を,反射電子像の画像解析により定量的に評価することが可能であり,粗大な毛細管空隙径の範囲においても充填傾向が確認された. 7. 反射電子像中において,ある特定の相のグレーレベルヒストグラムのピーク位置の理論値からのずれに着目し,これをPowersのモデルと組み合わせることによってセメント硬化体の水セメント比を推定する方法を提案した.
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