2010 Fiscal Year Annual Research Report
放射性廃棄物中の高濃度アルカリ塩によるセメント硬化体の長期劣化現象と対策の提案
Project/Area Number |
21560483
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
鳥居 和之 金沢大学, 環境デザイン学系, 教授 (50115250)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三原 守弘 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 地層処分研究開発部門, 副主任研究員 (00421652)
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Keywords | 放射性廃棄物 / ナトリウム塩 / アルカリシリカ反応(ASR) / 膨張発生機構 / 酢酸ウラニル蛍光法 / 偏光顕微鏡観察 / EPMA / DSC |
Research Abstract |
放射性廃棄物から浸出する高濃度アルカリ塩によるコンクリートのアルカリシリカ反応(ASR)の発生機構とその対策を検討するために、各種ナトリウム塩に浸漬したモルタルバーの膨張挙動とASRゲルの生成状況との関連性についてASTM C1260に準拠した促進試験法(温度80℃の各種溶液に浸漬する方法)によって実験的に検討した。また、各種ナトリウム塩によるASRの防止対策として、ポゾラン材料(フライアッシュおよび高炉スラグ微粉末)の多量使用によるASRの抑制対策の効果についても検討した。 本研究により得られた主要な研究成果は以下に示す通りである。 (1) 焼成フリント骨材を使用したモルタルバーの膨張挙動を比較することにより、外部から浸透するナトリウム塩の種類により、モルタルバーの膨張量が相違することが確認できた。すなわち、1Nの濃度条件では、硝酸ナトリウム→水酸化ナトリウム冨塩化ナトリウム→硫酸ナトリウム→蟻酸ナトリウム=酢酸ナトリウムの順番でモルタルバーの膨張率が増大しており、モルタルの膨張量は酢酸ウラニル蛍光法により測定したASRゲルの生成量および偏光顕微鏡による薄片試料のASRゲル及びひび割れの観察結果と良く一致していた。 (2) モルタル薄片のEPMAによる分析により、ASRゲルの生成に寄与するアルカリ雰囲気(NaやKイオンの生成過程)を確認することができるとともに、示差走査熱量分析DSC)やX線回折分析(XRD)によって求めた水酸化カルシウムの減少と新たな水和生成物(複塩)の同定結果より、高濃度のナトリウム塩によるモルタルのASRの発生機構を説明できた。 (3) 高濃度のナトリウム塩によるASRの発生を防止するためには、ポゾラン材料(フライアッシュおよび高炉スラグ微粉末)を多量に使用し、かつ前養生期間を長く設定することにより、モルタル中の水酸化カルシウムの生成量を低減することが有効であった。
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Research Products
(3 results)