2011 Fiscal Year Annual Research Report
放射性廃棄物中の高濃度アルカリ塩によるセメント硬化体の長期劣化現象と対策の提案
Project/Area Number |
21560483
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
鳥居 和之 金沢大学, 環境デザイン学系, 教授 (50115250)
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Keywords | 放射性廃棄物 / ナトリウム塩 / アルカリシリカ反応(ASR) / 膨張発生機構 / ASR抑制対策 / 鉱物質混和材 / 拡散セル法 / 偏光顕微鏡観察 |
Research Abstract |
放射性廃棄物から浸出する高濃度アルカリ塩によるコンクリートのアルカリシリカ反応(ASR)の発生機構とその対策を検討するために、各種ナトリウム塩に浸漬したモルタルバーの膨張挙動とASRゲルの生成状況との関連性についてASTM C1260に準拠した促進試験法(温度80℃の各種溶液に浸漬する方法)によって実験的に検討した。また、各種ナトリウム塩によるASRの防止対策として、鉱物質混和材(フライアッシュおよび高炉スラグ微粉末)の多量使用によるASRの抑制対策の効果についても検討した。さらに、各種リチウム化合物におけるLiイオンのセメント硬化体への拡散性状とリチウムによるASRの抑制機構についても検討した。 本研究により得られた主要な研究成果は以下に示す通りである。 (1)焼成フリント骨材を使用したモルタルバーの膨張挙動を比較することにより、外部から浸透するナトリウム塩の種類により、モルタルバーの膨張量が相違することが確認できた。すなわち、1Nの濃度条件では、硝酸ナトリウム→水酸化ナトリウム=塩化ナトリウム→硫酸ナトリウム→蟻酸ナトリウム=酢酸ナトリウムの順番でモルタルバーの膨張率が増大した。 (2)モルタル薄片のEPMAによる分析により、ASRゲルの生成に寄与するアルカリ雰囲気(NaやKイオンの生成過程)を確認することができるとともに、示差走査熱量分析(DSC)やX線回折分析(XRD)によって求めた水酸化カルシウムの減少と新たな水和生成物(複塩)の同定結果より、高濃度のナトリウム塩によるASRの発生機構を解明した。 (3)高濃度のナトリウム塩によるASRの発生を防止するためには、ポゾラン材料(フライアッシュおよび高炉スラグ微粉末)を多量に使用し、かつ前養生期間を長く設定することにより、モルタル中の水酸化カルシウムの生成量をできるだけ低減することが有効であった。 (4)拡散セル法により測定した硝酸リチウムと亜硝酸リチウムにおけるLiイオンの拡散性状はほぼ同じであり、経済性とASR抑制効果の両観点から、硝酸リチウムの使用が有利であった。
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Research Products
(5 results)