2009 Fiscal Year Annual Research Report
寒冷地道路トンネルにおける断熱工法の合理的・経済的設計法の提案
Project/Area Number |
21560494
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
三上 隆 Hokkaido University, 大学院・工学研究科, 教授 (00002303)
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Keywords | 構造工学 / トンネル工学 |
Research Abstract |
大きな研究実績は以下の3点である。 1)熱伝導・熱伝達理論を用いて、矢板工法により建設されたトンネルの坑内延長方向の温度算定式を導出した。この算定式から得られる年平均気温、年振幅、最高気温及び最低気温の延長方向分布は、道内6トンネル(雄信内、旧豊浜等)の実測値と比較的良好な一致が認められ、また年平均気温はトンネル坑口から遠ざかるにつれて上昇し、年振幅はトンネル坑口から遠ざかるにつれて減衰すること、及び、それらの特性に特に大きな影響を与えるパラメーターは風速であること等が分かった。 2)覆工表面の温度応力を明らかにするために、1)で導出した坑内延長方向温度に対する覆工内の温度差の分布状況を調べた。その結果、温度差の覆工内の分布状況は、ほぼ直線的に変化すること、またこの結果を用いて、トンネル覆工を円筒殻理論でモデル化した温度応力解析を実施したところ、冬期間ではトンネル坑口近傍で引張り応力が最大になり、応力は坑口から遠ざかるにつれて急激に減衰すること等が明らかになった。 3)NATMで施工されるトンネルの鋼アーチ支保工の役割を理論的・解析的に明らかにするために、1次吹付けコンクリートの挙動を円筒殻理論で、及び鋼アーチ支保工のそれをリング理論で表し、両者の影響を考慮した剛性算定式を導いた。算定式は、合理的な設計を行うのに検討が必要となる鋼アーチ支保工間隔等の各種パラメーターを陽に含んでおり、また鋼アーチ支保工の効果・影響の理解を容易にするたあに、応力問題で用いられる有効幅の概念を導入して、鋼アーチ支保工の分担範囲を明確にした。これにより、2次覆工表面の温度応力・変形に与える鋼アーチ支保工の影響を明らかにすることが可能になった。
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