2009 Fiscal Year Annual Research Report
斜張橋ケーブルにおける表面状態を考慮した空力振動応答評価の精緻化に関する研究
Project/Area Number |
21560501
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
八木 知己 Kyoto University, 大学院・工学研究科, 准教授 (30293905)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
白土 博通 京都大学, 大学院・工学研究科, 教授 (70150323)
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Keywords | 斜張橋ケーブル / 抗力係数 / レインバイブレーション / ドライステートギャロッピング / 水路 / 軸方向流れ / 耐風設計 / 制振対策 |
Research Abstract |
斜張橋ケーブルの表面形状とカルマン渦放出,抗力低減,上面側水路(レインバイブレーションの原因)との関係を風洞実験ならびに屋外実験により考察した.また,表面形状によりカルマン渦放出が抑制されたケーブルで,ドライステートギャロッピングが発生するか検討を加えた.以下に本研究で得られた知見を述べる. ● 軸平行突起付きケーブルにおいて,突起の本数を増やしても測定したレイノルズ数の範囲(約250,000付近まで)では抗力が低減せず,軸平行突起には臨界レイノルズ数を小さくさせる効果がないことが明らかとなった. ● 12本の軸平行突起を螺旋状にケーブルに巻き付けた場合では,巻き付け角度が大きくなるにつれカルマン渦放出が抑えられ抗力が低減することが明らかとなった.このスパイラル突起付きケーブルと軸平行突起付きケーブルでは,表面粗度という観点からみれば同じである.可視化画像によれば,流れの剥離点が軸方向に変化していることも捉えられており,ケーブル周りの流れの3次元的な効果でカルマン渦放出が抑えられていると考えられる. ● 水路形成を確認する屋外実験では,通常ケーブル断面,ディンプル付きケーブル,最近よく実橋で使用される2本スパイラル突起では,上面側水路の形成が確認されたが,軸平行突起付きならびに12本スパイラル付きケーブルでは水路の形成が見られず,レインバイブレーション対策としては有効であることが確認された. ● 一般に,カルマン渦を抑制するとギャロッピングが発生することが危惧され,斜張橋ケーブルにおいてもドライステートギャロッピングに注意が必要である.本研究で検討した12本スパイラル付きケーブルでは,カルマン渦放出が抑制されているが,自由振動実験結果からは振動現象は確認できなかった.これは実験条件によるものなのか,それともカルマン渦の抑制方法の違いで応答に差が出るのか今後さらに検討する必要がある.
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