2010 Fiscal Year Annual Research Report
塩害を受けるコンクリート構造物の劣化予測手法の開発
Project/Area Number |
21560504
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
松島 学 香川大学, 工学部, 教授 (00130302)
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Keywords | 塩害劣化 / 鉄筋腐食 / ひび割れモード / 数値シミュレーション / 現場計測 / 乾漆繰返試験 / 予測手法 |
Research Abstract |
塩害劣化によるコンクリート部材の劣化モデルを潜伏期、進展期、加速期に区分し、モデル化できる計算手法を構築した。手法は、施工のばらつきを考慮し、確率論的な手法を用いた。コンクリートの品質のばらつきを表現する項目として、拡散係数Dcを施工での鉄筋位置のばらつきとして、かぶりX、鉄筋間隔Lを施工による誤差と考えた。この2つの項目のばらつきを考慮することにより、限界塩化物イオン濃度、鉄筋腐食速度も必然的にばらつきを持つようにモデルを構築した。特に、進展期以降でのひび割れモードを乾湿繰返の実験との比較を行い、ひび割れモードをはく離、水平ひび割れ、鉄筋に沿ったひび割れモードを考えた。実験の結果から、はく離ひび割れと鉄筋に沿ったひび割れの境界値は、かぶりD/鉄筋径φ=3.0であること、鉄筋に沿ったひび割れと水平ひび割れの境界値は、鉄筋間隔L/鉄筋径φ=7.0である。これを踏まえた理論的な力学モデルを構築し、劣化予測モデルの中に組み入れた。 解析対象を35年経過したS発電所の放水口とした。本放水口は、瀬戸内海塩害に立地していること、環境が飛沫帯であり、潮の干満が大きいこと、発電所から排水される温水の影響を受けることなど、厳しい塩害環境になる。そのため、鉄筋腐食によるコンクリートのはく離、鉄筋に沿ったひび割れ等が生じている。入力した物性値は、現場で得られた情報と今までの実験から得られた情報の二つからなる。たとえば、拡散係数は、現場での抜き取り試料から平均値を設定し、そのばらつきは既往の桟橋の結果から設定した。かぶりは、既往の調査結果と本対象構造物の調査結果から決定した。計算結果は、塩化物イオン濃度は、計算結果のばらつきのなかにあり、良好な結果を得た。ひび割れモードは、ひび割れなし、はく離、鉄筋に沿ったひび割れの比率を15%以内の精度で推定することができた。
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Research Products
(2 results)