2011 Fiscal Year Annual Research Report
塩害を受けるコンクリート構造物の劣化予測手法の開発
Project/Area Number |
21560504
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
松島 学 香川大学, 工学部, 教授 (00130302)
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Keywords | 塩害劣化 / 鉄筋腐食 / 劣化予測 / ひび割れモード |
Research Abstract |
コンクリート構造物の塩害とは,コンクリート中の鋼材の腐食が塩化物イオンの存在により促進され,腐食生成物の体積膨張がコンクリートにひび割れや剥離を引き起こしたり,鋼材の断面減少を伴うことにより,構造物の性能が低下し構造物が所定の機能を果たすことができなくなる現象である.劣化の進行を予測するために様々な研究が行われている.しかし,定量的な予測手法が確立されていないため,現場調査により構造物の外観変状から構造物の現状の性能を半定量的に評価するしかない.最適な維持管理対策を行い,コンクリート構造物の性能を維持するためには,現在の劣化状況から今後の劣化状況を予測することが必要となる.構造物を維持管理していくために劣化予測が非常に重要な役割を担っている.コンクリート構造物の塩害劣化は,鋼材の腐食が開始するまでの潜伏期,腐食開始から腐食ひび割れ発生までの進展期,腐食ひび割れの影響で腐食速度が大幅に増加する加速期,および鋼材の大幅な断面減少などが起こる劣化期という過程に分けて考えることができる.これらの過程を適切なモデルを用いて計算することが劣化予測の基本となる.塩害による鋼材の腐食は,コンクリート練混ぜ時から含有されていた塩化物のほか,コンクリートの硬化後に外部から侵入した塩化物によっても発生する.一連の研究として今までに塩害による劣化の進行過程を潜伏期,進展期,加速期の三つの期間にモデル化した予測モデルの構築を行っている.本研究は,コンクリートの拡散係数の時間依存モデル,腐食発生限界塩化物イオン濃度のコンクリートの品質依存モデル,鉄筋腐食速度モデルの再構築を行い,確率論的アプローチにより実構造物の劣化現象の予測を行った.拡散係数,付着塩分量の感度解析も行った.その結果,実構造物に生じるコンクリートの劣化の状態やコンクリート中の鋼材腐食が精度よく予測できるようになり,実際の現象を的確に再現することが可能となった.
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Research Products
(7 results)