2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21560509
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Research Institution | Meijo University |
Principal Investigator |
葛 漢彬 名城大学, 理工学部, 教授 (90262873)
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Keywords | 鋼製橋脚 / 延性破壊 / 極低サイクル疲労 / 繰り返し載荷 / 照査法 / 弾塑性挙動 / シェル解析 / ファイバーモデル |
Research Abstract |
本年度は,鋼製橋脚隅角部を模擬した5体の縮小モデルにおいて,本来完全溶け込み溶接が必要な部位に溶接未溶着部を導入し地震時における極低サイクル疲労き裂発生性状(延性き裂)と,最終的な破壊モードを確認するために繰り返し載荷実験による検討を行い,フィレットを有する隅角部における溶接未溶着高さの違いによるき裂発生性状の違いを示した.また,これらの鋼製橋脚隅角部モデルに対して,地震時における延性き裂を解析的に検証すべくシェル要素を用いたFEM解析を実施し,筆者らが提案してきた延性き裂発生評価指標を用いることで延性き裂発生評価を試みた.本研究で得られた知見を以下にまとめる.(1)繰り返し載荷による水平荷重-水平変位履歴において,溶接未溶着の有無による履歴のマクロ的な相違は見られなかった.(2)フィレットなどの応力集中緩和のための構造が有る場合,溶接未溶着高さが2mmの場合において,溶接未溶着部から溶接ビード表面へのき裂進展は確認されず,母材からのき裂進展が支配的であった.(3)一方,溶接未溶着高さ5mmの場合においては溶接未溶着部からき裂が発生し,十字溶接部に沿って延性き裂が進展した.(4)溶接未溶着部から延性き裂が発生した場合,き裂が溶接ビード内部で進展し表面に達した時点ではき裂が大きく進展している可能性がある.(5)溶接未溶着が供試体における水平荷重-水平変位関係においては,溶接未溶着を考慮したシェル要素を用いたFEM解析により比較的精度よくその挙動を再現ができる。(6)溶接未溶着高さが大きくなり,溶接未溶着内部からき裂は進展するような破壊モードにおいては,過去の研究で行われているシェル要素を用いた解析により計算される塑性ひずみを用いての損傷度評価は困難である.
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