Research Abstract |
本年度は,鋼製橋脚隅角部を模擬し,十字継手において溶接部にR仕上げを施し,梁-柱交差部におけるフィレット半径をR=15mm,R=30曲とした実験供試体を作成し,十字継手内部にルートギャップおよび未溶着高さa=5mm,a=8mmの溶接未溶着を導入し,漸増変位振幅載荷を与える繰り返し載荷実験を行い,き裂の発生・進展状況,水平荷重-水平変位関係,ひずみ履歴から,溶接部にルートギャップが存在する場合における,溶接未溶着高さおよびフィレット半径の違いが与える延性き裂発生・進展への影響を検証した.その結果,□き裂発生時期は,フィレット半径R=30mmの供試体では,未溶着高さの違いによる変化は見られなかったが,フィレット半径R=15mmの供試体では,未溶着高さa=8mmの供試体の方が早くなった.□き裂の進展は,フィレット半径R=15mm,R-30mmの供試体ともに,未瀦高さa=8mmの供試体の方が急激なものとなった.□水平荷重-水平変位関係については,荷重が低下し始める時期に違いはあるが,き裂発生点までのグラフ概形はほぼ一致しており,未溶着高さおよびフィレット半径の違いによる影響は見られなかった.□未溶着高さa=8mmの供試体では顕著な差は見られなかったが,a=5mmの供試体では,フィレヅト半径R=30mmの供試体はR=15mmの供試体に比べ,柱フランジのひずみ測定箇所でのひずみが小さく,フィレットによる応力集中緩和効果が確認出来る.□最も進展したき裂は,全ての供試体において未溶着部から発生・進展し,その進展方向は供試体表面および供試体内部の両方向となった.□全ての供試体において,き裂は溶接継手方向に沿って進展した. また,解析の手法において溶接形状や溶接欠陥性状をより忠実に再現するために,ソリッド要素を用いて損傷度評価を行い,延性き裂発生を概ね推定できることを示した.
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