Research Abstract |
研究代表者は,半水石膏を添加したセメント安定処理土の一軸圧縮強さが半水石膏添加率と密接な関係にあることを明らかにし,石膏添加に伴うエトリンガイトの生成量の増加を指摘している.しかしながら,エトリンガイトの化学反応式によれば,既往の配合条件ではAl_2O_3が欠如していることが明らかとなった,そこで本年度は,上記配合例におけるAl_2O_3の不足を補うため,新たにリサイクル材料でかつAl_2O_3が比較的豊富な石炭灰の混入を試みた.その結果,石炭灰を混入した場合には,半水石膏添加率の増加に伴って強度変形特性がさらに改善されることが明らかとなった.また,走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて供試体内部の観察を行い,半水石膏および石炭灰の添加率の増加に伴うエトリンガイト構造の発達過程を,視覚的な観点から実証している.さらにX線回折試験結果に基づいて,石炭灰と石膏添加に伴うエトリンガイトの生成量と結晶構造の発達過程も解明した. 一方,本研究で対象とした半水石膏は,フッ素溶出量が土壌の環境基準を上回る場合がある.本年度は,このようなフッ素溶出の抑制をさらに進展させるため,これまで対象とした高炉セメントB種に加え石炭灰を新たなアルミナ源として補足添加し,石炭灰添加に伴うエトリンガイト生成量の変化をX線回折試験結果と溶出試験結果に基づいて検討した.その結果,これまでの高炉セメントB種に加え石炭灰をさらに添加することによって,石膏からのフッ素溶出濃度がさらに減少し,新たな添加に伴って問題となる可能性があるほう素や六価クロムの溶出濃度も,土壌の環境基準を満たしていることを実証した.この原因として,研究代表者はエトリンガイトの生成量の増加等の内部構造の発達を指摘しており,今回開発したハイブリッド型地盤材料が工学的に優れた材料となる可能性が極めて高いことを,学際的観点から指摘している.
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