Research Abstract |
砂や礫などの粗粒材料が振動を受けると,土粒子間の噛み合いが緩み,材料全体の体積変化や強度低下を引き起こす.この現象は地震時に地盤の沈下被害をもたらす一方,振動杭打ち,振動掘削,振動締固め工事などでは,この現象を逆に活用して,施工の効率化を図っている.しかしながら,振幅や振動数などの振動条件と粒状材料の体積変化や強度低下との関係,ならびに土粒子の大きさや形状,粒子の詰まり具合などの土質条件がその挙動に及ぼす影響については,必ずしも明らかにされている訳ではない. 本研究では,振動場における粗粒材料の振動挙動を明らかにすることにより,粗粒材料を用いた盛土や管路等の埋め戻し作業における施工管理基準の設定,ならびに振動を利用した施工の最適化を図るシステムの提案を行うことを目的とし,本年度は主に以下の実験による研究を行った. 導電性を有する粗粒材料からなる供試体の両端に電極を配置して電圧をかけると,電流が流れる.このときの電流の大きさは供試体の有する電気抵抗により異なるが,この電気抵抗は粒子の接触状況により決まる.このため,振動場にこの供試体を置いて電流の変化を計測すると,振動を受けた粒状材料の粒子間の接触状況をモニターすることができる.H21年度は,新たに購入した振動台を用い,導電材料としてコークスを破砕して粒状とした粒子を試料とし,振動条件(振幅,振動数)と粒子の条件(粒径)の組み合わせを変えて実験を行った.実験の結果,理論的には,振動による粒子の噛み合わせは,振動加速度の大きさにより決まるが,実際には,同じ加速度でも振幅と振動数の組み合わせにより効果が異なり,振幅が試料の粒径より大きいときに粒子間の噛み合わせが外れ,粒子の相互移動が生じ易いことが明らかになった.
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