2010 Fiscal Year Annual Research Report
地盤リスク事例の類型化に基づく包括的な地盤リスクマネージメントシステムの提案
Project/Area Number |
21560532
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Research Institution | National Institute of Occupational Safety and Health, Japan |
Principal Investigator |
伊藤 和也 独立行政法人労働安全衛生総合研究所, 建設安全研究グループ, 研究員 (80371095)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
日下部 治 東京工業大学, 理工学研究科, 教授 (40092548)
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Keywords | 地盤工学 / リスクマネージメント / 建設マネージメント |
Research Abstract |
本研究は,地盤工学に係わるリスクについて,裁判の判例や保険などの多くの事例から体系的・有機的に整理・類型化し,我が国における地盤工学分野での契約・保証・保険制度やリスクコンサルタントなどのあり方といった包括的な地盤リスクマネージメントシステムを提案することを目的としている。この目的を達成するために、研究2年度(平成22年度)では,研究初年度に実施した4種類の類型化作業を基にそれぞれの類型形態に対する対処法について、帰納的な取りまとめの可能性を模索した。以下に簡単に結果を示すと (1) 法律・裁判関係 キーワードに合致した平成年間の判例90件についてDBシートを作成して分析を実施した。 a) 事件区分は民事事件が65%と多く b) 原告・被告の比率原告は市民が8割,被告は行政機関(国・地方)が55%,開発業者が30%であった c) 認容率(原告の勝訴率):39%。通常の地裁民事第一審通常訴訟事件の認容率は83.7%と地盤リスクに関連した裁判では認容率が通常裁判の半分程度であることがわかった。同様に専門性が高い医療過誤訴訟では32.5%であることから,医療過誤と同様の問題を抱えていると言える d) リスクの種類:生活安全リスクが最も多かった (2) 保険・保証関係:保険・保証申請適用事例から地盤工学に関連した事例を抽出し、類型化を行なった (3) 契約関係:国内外の契約における発注者と請負者の地盤リスクに伴う責任分担を抽出し、類型化を行なった。 (4) 地盤リスク関係:地盤リスクの分類・同定手法・予測手法と事例について国内外の地盤リスクに関連する論文集から収集してDBを構築し,整理・解説した。 上記の結果を踏まえて,法律関係では裁判に地盤工学技術者が積極的に関与できるような仕組みが必要であり,それは建築や医療関係訴訟のように学会ルートで鑑定人を推薦する仕組みを,地盤工学においても作る必要があることを示している。
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