Research Abstract |
本年度は以下に示す主として2項目の研究を実施した. 1. 地物データGIS用いた洪水流出・氾濫浸水予測モデルの構築に関する研究 東京都内の神田川上流域(流域面積約12km^2)を具体的な対象流域として取り上げ、対象流域の観測データとして,河川水位,河川への下水道からの流出量,降雨時の道路冠水状況などのデータを収集し,構築する洪水氾濫予測モデルの未知パラメータの同定資料とした.次いで,対象流域の基礎的なGISデータを収集する共に,ベクトル形式の1/2500数値地図データ(国土地理院発行),1/2500東京都地形図データ,5mメッシュ標高データ,下水道台帳の雨水・下水道管路データから,雨水流出・洪水氾濫浸水予測に用いる高度な地物データを効率よくGISデータベース化するためのデータ作成システムを構築した.次に,提案した予測モデルの信頼性を総合的に評価するために,流出過程に用いる基礎方程式は同一とし,適用する位置情報要素データのスケールとパラメータの影響について検討した. 2. 地物データGISを用いた地下水涵養モデル・低水流出モデルの構築に関する研究 まず,地物毎に地下水涵養量を算定するためのモデルとして,表層土壌浸透モデルとしては安藤らが提案したSMPTモデルを用い,また浸透量が算定された後の地下水流動については20mメッシュによる既存の広域地下水平面2次元モデル等を用いて,また蒸発散量算定に関してはとりあえず簡単なハモン式を採用し,地物データGISを用いたプロトタイプの地下水涵養モデルを完成させた.次に,東京都が保持している密な地質柱状図データより,対象流域の帯水層を抽出し,帯水層厚や透水係数などを同定し地下構造を推定した.そして,日降水,時間降水データを入力し,本モデルにより数年間の長期流出解析を行い,計算地下水位や河川への流出量の変動を検証した.
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