2010 Fiscal Year Annual Research Report
粘着性土からなる河道の流路変動過程とその動的平衡形状に関する研究
Project/Area Number |
21560546
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
関根 正人 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (60187854)
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Keywords | 水理学 / 河川工学 / 移動床水理学 / 粘着性土 / 浸食 / 流砂 / 河床・流路変動 |
Research Abstract |
本研究では,粘着性土からなる流路が流水の作用を受けて変動していく過程に注目し,そのメカニズムに迫ることを最終的な目的としています.ここでは,「粘着性流路」を構成する材料として,砂礫の間隙を埋める程度にしか粘土が含有されない場合(すなわち粘土含有率が30%未満の場合)を検討の対象として,このような粘着性流路の動的安定状態に関わる実験的検討を行いました.また,この変動過程が砂礫のみの流路のものに比べてどのように変化するかについても明らかにしています.さらに,「粘着性流路の変動に関する数値解析」を行う上での準備も進めてきました. このような研究に加えて,流路が従来の研究に比べて極端に広い粒度幅の材料により構成される場合を対象として,その安定状態についての実験的研究も行いました.これは,河床の骨格が大礫より構成され,その間隙が砂礫あるいはシルトで充填されている場合に相当します. 2010年度の主な成果をまとめると以下の通りと言えます. (1)土砂全体に占める粘土の体積比率(粘土含有率)が10%程度以上であれば,著者らがこれまでに誘導してきた「粘着性土の浸食速度式」をそのまま適用することが可能である. (2)粘土含有率が20%未満の材料かなる直線流路の動的安定形状に関わる実験を行い,流路構成材料に粘土が含有されることで拡幅が明らかに抑制されるほか,横断方向に顕著な土砂の分級が生じることが明らかになった. (3)粒度の幅が広い三粒径からなる混合粒径河床の静的安定状態について検討したところ,河床に顕著な鉛直分級が生じることが明らかになったほか,大礫による遮蔽効果に関わる新たな知見が得られた.
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