Research Abstract |
(A)植生基盤における洗掘現象の解明とその防止策に関する研究においては,以下の室内実験と現地観測を実施した. a)2次元造波水槽内の砂層ボックス内に設けた砂層上に,ヨシ等の抽水植生やアマモ等の沈水植物をモデル化した円柱群や人工海藻を設置し,汽水域や海岸において土砂移動が生じる限界流速や波高および移動限界水深の特性値におよぼす河床せん断力の影響を明らかにした. b)円柱群内および砂層上部近傍の流れ特性を2成分レーザードップラー流速計(LDA)と流れの可視化装置(PIV)を使用して調べた.これらの流れの計測により,植生間流れの空間流速分布,乱れ速度分布,レイノルズ応力分布等の流れ特性値を明らかにした.合わせて,せん断力計を植生基盤表面に設置し,基盤上に作用する底面せん断力の直接計測を行い,せん断力強度およびその変動強度(rms値)の平面分布特性を明らかにした. c)現地で採集した比較的小型の実植生を,2次元造波水槽内の砂層ボックス内に移設し,上記a)と同様な実験を行なった.対象とする水辺植生には,ヨシ,コアマモ,アマモ,松苗,杉苗を用いた. d)波の静穏な海域に置かれた生け簀内に,土砂を入れた小型容器を吊り下げアマモとコアマモの育成実験を行なった.土壌の嫌気化や付着生物の増加によりこれら植生の安定した育成は困難であった. e)植生の茎葉による浮遊土砂補足現象,発達した根茎による土壌緊縛作用,茎部や葉部の流れや波に対する揺動や渦励振動現象等の影響を,室内模型実験と現地観測を行い調べた.現地海岸における土壌基盤の洗掘状況や浮遊土砂の観測には,今年度購入した堆積・侵食測定器を使用した. (B)ホトトギス貝による砂泥表層の硬化安定作用に関する研究においては,以下の室内実験と現地観測を実施した a)二枚貝(ホトトギス貝)の「足糸」による砂泥表層の硬化安定作用を検証する模型実験を,造波水槽を用いて行なった. b)コアマモのパッチ内とそれに隣接する無植生の場所において,土壌の粒度分析と硬度を調べた. c)生プラスチック,天然やし繊維等の様々な素材の植栽用マットを利用し,その洗掘防止効果と植生の生育に対する影響を調べた.
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