2010 Fiscal Year Annual Research Report
物流の理解深化と物流施策評価のためのサプライチェーンネットワーク解析
Project/Area Number |
21560556
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山田 忠史 京都大学, 工学研究科, 准教授 (80268317)
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Keywords | サプライチェーン / ネットワーク均衡 / 在庫費用 / 不確実性 |
Research Abstract |
サプライチェーンネットワーク(Supply Chain Network:SCN)の効率的な形成が積極的に実施・検討されている状況を考慮して、本研究は、物流施策の実施効果のSCN全体での推定を目指し、SCN上での商品の流動特性や活動主体の行動特性を考究するものである。 本年度は、(a)実際の企業へのヒアリング調査や関連する文献の調査に基づいて、実際のSCN特性を詳細に把握し、(b)前年度に開発したSCNモデルをベースに、消費市場での商品需要や輸送時間の不確実性を考慮したモデルへと拡張し、(c)前年度および今年度に構築したSCNモデルを用いて、輸送の高速化や消費需要の変動の影響について基礎的分析を行った。 項目(a)については、SCN形態や、それに影響を及ぼす要因の把握に努めるとともに、項目(c)において有用となる、モデルの入力データの改良を図った。 項目(b)においては、前年度に開発した、多段階の寡占的なSCN上で行動する製造業者、小売業者、卸売業者、物流業者、消費市場の5主体の意思決定を考慮したネットワーク均衡モデルに、消費需要の変動を在庫費用として、輸送時間の変動を期待遅刻費用として、それぞれ取り込んだ。得られる解の定性的性質(解の存在と一意性など)を明示した後、定式化した変分不等式が非線形相補性問題に変換されること、および、準ニュートン法を用いた解法を提示した。 項目(c)については、前年度および今年度の上記(b)で開発したモデルを用いて、上記(a)の調査結果を反映させた仮想的なSCNを対象に計算を実施した。その結果、輸送の高速化がSCNの効率性を向上させる一方で、商品の消費需要のばらつきが大きくなると、効率性が減少することを明らかにした。
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Research Products
(4 results)