2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21560560
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
轟 朝幸 日本大学, 理工学部, 教授 (60262036)
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Keywords | 都市間交通 / 包絡分析法 / 地域格差 / モビリティ / 公共交通サービス |
Research Abstract |
本研究は,移動の容易さの地域による差異を「移動の地域格差」として捉え,この格差を定量的に明らかにすることを目的としている.具体的には,公共交通による都市間移動の地域格差について,交通サービスの実績データを用いて分析を行い,都市間移動の地域格差の実態を明らかにすることを目指している.本研究で明らかにする都市間移動の地域格差は,近年わが国で起こっている一極・一軸集中・地方衰退という現状を,公共交通の観点から活性化させるためのツールとして利用でき,公平な公共交通サービスの向上につながると考えられる. 本年度は,昨年度構築した包絡分析法による都市間の移動利便性の格差を計測する方法(モデル)を用いた,わが国の都市間移動の地域格差の時系列分析および国際間比較の2点を行った.まず,わが国の都市間移動の地域格差の時系列分析では,1971年から2006年までを対象として移動の地域格差の広がり具合を把握した.その結果,都市間距離のみのモデルおよび人口を考慮したモデルでは,年々格差が縮まる傾向であった.しかし都市間の輸送人員を考慮したモデルで計測した2006年の結果では,2001年と比較して再び格差が広がりつつあることが明らかとなった. 次に国際間比較では,高速鉄道の整備されている中国,ドイツ,フランスを対象としてわが国と各国との都市間移動の地域格差の規模や広がり方の違いについて把握した.その結果,人口が首都に集中しているわが国およびフランスは,人口が首都に集中していない中国,ドイツと比較して格差が広がりやすい傾向にあることが明らかとなった. 来年度は,これまで得られた成果を再度検討し直し,必要なフォローアップ調査を実施する.具体的にはこれまでの課題を整理し,モデルの整合性を検討する.その上で3年間行った研究の成果を報告書としてとりまとめる.
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