Research Abstract |
時間価値の増大や企業のJustin Time生産,在庫ゼロ管理等の経済活動の高度化によって人流・物流の両面において旅行時間の信頼性が求められている.本研究では,従来から提案されている種々の旅行時間信頼性指標を踏まえた上で,新しい旅行時間信頼性指標を提案したものである.内外10種以上の信頼性指標を理論モデルおよびナンバープレート観測による旅行時間変動分析で比較検討し,本研究で開発する指標も含め各種指標の利害得失を明らかにした.特に,既存提案の指標には以下の問題点があった. 問題点(1): 旅行時間信頼性指標に応じて路線の評価順位が変動し,指標の優劣が明らかでない. 問題点(2): 指標の分類整理も不十分で,指標の特性に関して未解明の部分が多い.例えば,米国で標準的指標とされているBTI指標は小さい値が望ましいとされている.しかし,旅行時間のブレが同じで,かつ,旅行時間が小さくなるとBTIの値が大きくなって,優劣の実態に合わないという不都合が生じる.これはBTI指標の大きな欠陥である. 問題点(3): 評価の視点が道路管理者か利用者か,路線間比較のための標準化の有無などに展開の余地がある. このため,本研究では,(1)利用者の視点に立った旅行時間信頼性指標を提案し,(2)従来提案の指標とあわせて11種類の指標の利害得失を比較した.実際の高速道路の名古屋~大阪,および美並~名古屋の2区間のそれぞれ異なる3経路を対象に,観測あるいは予測された旅行時間変動に対して計算し,その比較を行った. 得られた成果は,提案した新しい指標は,上記のBTI指標等のもつ利用者や道路管理者の直感と合わない弱点を補う特長が明らかとなり,上記の2区間の旅行時間信頼性を良好に評価できることが明らかとなった.信頼性解析国際会議でも発表と討議がなされ,国際Journalでも登載が決定した.
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