2009 Fiscal Year Annual Research Report
環境水質の長期毒性評価のための簡易・高感度バイオアッセイ系の開発と適用
Project/Area Number |
21560568
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Research Institution | Nagaoka University of Technology |
Principal Investigator |
小松 俊哉 Nagaoka University of Technology, 工学部, 准教授 (10234874)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
姫野 修司 長岡技術科学大学, 工学部, 准教授 (60334695)
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Keywords | 環境質評価 / 水質 / バイオアッセイ / オオミジンコ / 生態毒性 / 繁殖試験 |
Research Abstract |
環境水,とりわけ河川水には種々多様な微量の有害物質が存在するため,生物検定(バイオアッセイ)を用いて複合毒性として水質リスクを評価する必要性が高まっている。特に,現在わが国においては,急性の影響よりも長期的に影響が現れる毒性の評価が重要であり,生態系への影響の観点からは長期的な生態毒性を定量的に評価することが有用である。本研究の目的は,多地点における河川水サンプルを対象として,Daphnia magna(オオミジンコ)を用いた生態毒性試験を実施し,その結果に基づいて水質健全性レベルを提案することである。試験法として,長期毒性や生殖への影響を高感度で評価できるD.magna繁殖試験を適用した。本試験は化学物質の評価においては重要視されているにも関わらず,環境水を対象とした場合は国内外合わせて数例しか見当たらないため,第一に信頼性の高いデータの取得のための種々の検討を行った。 D.magna飼育法を確立し,繁殖試験の対照区においてOECD基準を満たすことを確認した後に,信濃川水系の河川水を用いて本試験を行った。その結果,一部の河川水サンプルにおいて対照区に対して産仔数の有意な減少が見られた一方,河川水のDOCが1~3mg/Lのレベルにおいては,その値の大小と産仔状況に関連性はなかった。また,対照区において試験水の硬度レベルが大きく異なっても(35,160mg/Las CaCO3),産仔状況に影響は殆どみられていない。したがって,通常の水質特性を示す河川水に対する長期的な生態毒性評価手法としてD.magna繁殖試験が適用できる可能性が示された。次年度以降は,流域の利用状況に差がある地点や採取時期の異なる河川水についても本試験を実施していく予定である。
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Research Products
(1 results)