Research Abstract |
鉄筋コンクリート造の寿命予測のために,コンクリート中の鉄筋腐食に及ぼす各種要因の影響を長期暴露試験の結果に基づいて評価した。実験は,コンクリートの品質(水セメント比)およびかぶり厚さを変えて鉄筋を埋め込んだ試験体を,屋外で長期(20年)間暴露試験し,コンクリート試験体を解体して鉄筋腐食状況を計測した。鉄筋腐食に及ぼす各種要因は,コンクリートの水セメント比(50,55,60,65%),塩化物量(0,0.1,0.3,0.5,1.0NaCl/砂%),鉄筋のかぶり厚さ(15,20,30,40mm)とした。 その結果,鉄筋の腐食は,ひび割れの発生と共に急激に促進され,かぶり厚さの影響は主にひび割れの発生に起因しており,塩化物量が多いほど,かつ,かぶり厚さが小さいほど,深さ方向に進む傾向があることなどを明らかにした。また,この結果をもとに腐食速度式を作成した。腐食減少率(%)〓w=at^bとし,最小二乗法により,腐食速度係数aと腐食傾向定数bを求めた。その結果,鉄筋の腐食速度係数aは,塩化物量が特に多い場合を除いて,概ねかぶり厚さに反比例しているが,コンクリートの水セメント比,塩化物量には概ね直線的に増大する。また,腐食傾向定数bは,水セメント比,かぶり厚さ,塩化物量の増加に伴い,わずかに増加傾向であり,本解析で対象とした範囲内では0.4~0.55程度となることを示した。
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