2010 Fiscal Year Annual Research Report
高硬度ゴムとポストテンションブレースを用いた高性能コンパクト制振システムの開発
Project/Area Number |
21560588
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
辻 聖晃 京都大学, 工学研究科, 准教授 (00243121)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉冨 信太 京都大学, 工学研究科, 助教 (30432363)
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Keywords | 高硬度ゴム / ポストテンションブレース / 微小振動 / 居住性能 / 耐震補強 / 自由振動実験 |
Research Abstract |
(1) 戸建住宅を想定した部材断面サイズを有する鋼製部分骨組に,高硬度ゴムをダンパー要素とするコンパクト制振システムを組み込み,人力加振による自由振動実験を実施した.この実験より,梁と制振システムの接合部のずれや開きは極めて小さく,制振システムが極微小な変形領域(層間変形で0.25mm)から十分な減衰性能を発揮できることを確認した. (2) 高硬度ゴムの単体実験より作成された復元力特性モデルを組み込んだ市販の汎用構造解析プログラムを用いて,(1)の実験に対するシミュレーション解析を実施し,実験結果を極めて高い精度で再現できることを確認した. (3) 提案するコンパクト制振システムを戸建住宅に組み込んだ場合の制振効果を,時刻歴応答解析や固有値解析を実施すること無く簡便に予測するための方法を提案した.また,汎用構造解析プログラムを用いた時刻歴応答解析の結果と,提案する方法での予測結果を比較し,提案する方法が実用上は十分な精度を有していることを確認した. (4) 低降伏点鋼をダンパー要素とするコンパクト制振システムについて,(1)と同様の実験を実施し,高硬度ゴムと低降伏点鋼のそれぞれをダンパー要素とするコンパクト制振システムの減衰性能の違いを明らかにした. (5) 高硬度ゴムは「振幅が小さいほど大きな減衰性能を示し,振幅の拡大と共に減衰性能が低下する」という特徴があり,低降伏点鋼には「振幅がある値以上にならなければ減衰性能を全く示さず,振幅がある値を越えると,振幅に関わらないほぼ一定の減衰性能を示す」という特徴がある.この両者の長所を生かし,広い振幅の領域にわたって高い減衰性能を示すような制振システムとして,両者をダンパー要素として並列に組み込んだ「ハイブリッドダンパーシステム」を提案した. なお,上記の成果は,平成23年6月に開催される日本建築学会近畿支部研究報告会ならびに平成23年8月に実施される日本建築学会大会学術講演会で発表予定である.
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