2011 Fiscal Year Annual Research Report
中低層鋼構造ラーメン骨組の部材耐力分布の適正化に関する研究
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21560594
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
小川 厚治 熊本大学, 大学院・自然科学研究科, 教授 (80112390)
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Keywords | 筋違 / 耐力分担率 / 最大層間変位角 / 立体骨組 / 偏心 / 変形集中 / 柱梁耐力比 / 地震応答 |
Research Abstract |
今年度は、次の2つの課題について研究を進めた。 1.偏心をもつ重層骨組の適正部材強度分布 1-1昨年度は、偏心をもつ重層骨組の地震応答を検討するためのツールとして、2方向魚骨形モデルを開発した。今年度は、このモデルの柱や梁に対して用いる降伏曲面の形状について検討し、汎用性の高い耐震設計資料を得るための応答解析で用いる降伏曲面の形状を提案した。また、降伏曲面の形状が地震応答に及ぼす影響が小さいことも明らかにした。 1-22方向魚骨形モデルを用いて、偏心をもつ重層骨組の地震応答性状を検討した。その結果、特定層の柱や梁だけに偏心がある場合でも、層せん断力の分布形は偏心のない骨組と変化がなく、偏心によるねじりモーメントの分布形も層せん断力と類似し、偏心層だけで大きくなるような傾向は認められないことなどを明らかにした。 2.座屈を生じる従来型筋違付骨組の耐力分布 2-1筋違の耐力評価について検討した。筋違付骨組の耐震設計においては、圧縮側筋違の耐力は座屈後安定耐力、引張側筋違の耐力としては降伏軸力がよく利用されている。圧縮側筋違は座屈後安定耐力をもつ完全弾塑性型、引張側筋違は降伏軸力を耐力とするスリップ型にモデル化することで、筋違付骨組の地震応答が近似できることを明らかにした。 2-2上記のように単純化した復元力特性を用いて、筋違付骨組の地震応答解析を行い、純ラーメン骨組や履歴型ダンパー付骨組の地震応答と比較した。その結果、筋違の最大層間変位応答抑制効果は履歴型ダンパーに比べれば劣ってはいるが安定していること、筋違の耐力分担率を大きくすると最大層間変位応答抑制効果も顕著になるが、極端に耐力分担率を大きくすると一部の層に変形集中を起こすことなどを明らかにし、耐力分担率の上限値の算定式を提示した。
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