2009 Fiscal Year Annual Research Report
復元力によるモーメントに着目したRC架構の地震後の残留変形抑制に関する研究
Project/Area Number |
21560595
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
塩屋 晋一 Kagoshima University, 理工学研究科(工学系), 教授 (80170851)
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Keywords | 鉄筋コンクリート / 損傷抑制 / 残留変形抑制 / 柱 / 復元力 |
Research Abstract |
梁の残留変形角と損傷を抑制する方法の検証実験の結果以下のことが明らかになった。 (1) 提案した配筋方法により梁の残留変形角を従来の普通強度鉄筋を用いる配筋に較べて約55%程度に低減できた。しかし,変形角で1/50rad.を経験すると除荷後の残留変形角は約1/140rad.程度になった。 (2) 提案した梁の変形機構により上端主筋を1/50rad.まで降伏させないことが確認できた。 (3) 圧縮抵抗だけする圧縮抵抗筋により大変形域(1/50rad.)まで曲げ圧縮域におけるコンクリートの圧縮破壊を防ぐことができ,主筋の座屈を防止できた。 (4) 下端主筋を1/200rad.で引張降伏させ,それ以降では下端主筋だけの引張降伏と圧縮降伏の繰り返しによりエネルギーを吸収させることができる。下端主筋だけを降伏させる本研究の方法でも,上端主筋も降伏させる一般的なRC梁に近いエネルギー吸収量を確保できる。 また柱については、損傷と残留変形角を抑制するRC柱の残留変形角の評価式を誘導するために曲げ解析を行い,残留変形角を評価する力学モデルと基礎式および計算手順を提案した。その結果、以下のことが明らかになった。 (1) 柱の残留変形角が決定する条件は,除荷時にヒンジ領域における,軸力による復元モーメントMnと最大経験角時に引張降伏していた引張鉄筋が圧縮抵抗して負担するモーメントsMが等しくなることである。 (2) 最大経験角時に引張降伏していた引張鉄筋を除荷時に圧縮降伏させて残留変形角を1/400rad.程度に抑制するためには少なくとも,最大耐力時で定義される復元モーメント比γを1.2より大きくする必要がある。 (3) 提案した計算方法で最大経験角や復元モーメント比の変化に伴う残留変形角の変化傾向を定性的に表現できた。今後は,仮定した諸値の妥当性の検証と,残留変形角の簡便的な評価式を誘導する必要がある。
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Research Products
(2 results)