2010 Fiscal Year Annual Research Report
復元力によるモーメントに着目したRC架構の地震後の残留変形抑制に関する研究
Project/Area Number |
21560595
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
塩屋 晋一 鹿児島大学, 理工学研究科(工学系), 教授 (80170851)
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Keywords | 鉄筋コンクリート / 損傷抑制 / 残留変形抑制 / 柱 / 梁 / ラーメン / 復元力 |
Research Abstract |
本研究は,コンクリートを建設現場で一体的に打設する工法の鉄筋コンクリート造建物を対象にし,大地震時に大変形を経験しても構造体の損傷を軽微に留め,残留層間変形角を使用上問題にならない程度(1/400 rad.以内)に抑制する技術とその設計方法の開発を目指している。 昨年、梁降伏型骨組の1階の柱を対象とした損傷抑制と残留変形抑制を目的にしてRC柱の水平加力実験を行い,曲げ破壊形式のRC柱の残留変形は復元モーメント比によって大きく影響を受け,残留変形を抑制するためには損傷抑制が必要であることを明らかにしている。今年度の研究では,主筋量が異なる場合の柱の特性を明らかにすることを目的に追加実験を行った。また,今回の実験では最大変形後の振動特性を想定した残留変形の抑制効果を静的加力実験により検討した。曲げ降伏形式の柱の残留変形を抑制する方法について主筋量を増加させた柱での残留変形の抑制効果を調べる柱の水平加力実験を行った。研究の結果以下のことなどが明らかになった。 (1)静的加力による最大経験変形後の直後の柱の残留変形角R1は,主筋量を増加させた場合でもこれまで定義してきていた復元モーメント比γの影響を大きく受け,その傾向はこれまで明らかにしてきた結果と同様なものになった。 (2)一方、実際の地震時の建物の振動特性を想定し、最大応答変形後の減力時の振動を考慮して,振動時の減衰エネルギーにより振動エネルギーが零に収束して残留変形角Reが決定する加力を行うと,ReはR1に対して、極めて小さくなることを確認した。γが0.5以上であるとReはR1に対して10~25%程度となり,容易に残留変形を抑制できる設計が可能であることが明らかになった。今後は残留変形角Reを定量的に評価する方法を整備する必要がある。 また柱と梁に損傷抑制と残留変形抑制の方法を用いた梁降伏型RCラーメンの水平加力実験を行い,性能を検証した。
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Research Products
(5 results)