2010 Fiscal Year Annual Research Report
高周波加振に伴う固有振動数の変化を利用した鉄筋コンクリート構造の損傷診断法の開発
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21560609
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Research Institution | Central Research Institute of Electric Power Industry |
Principal Investigator |
金澤 健司 (財)電力中央研究所, 地球工学研究所, 主任研究員 (00371435)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永田 聖二 (財)電力中央研究所, 地球工学研究所, 主任研究員 (00432005)
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Keywords | 建築構造・材料 / モニタリング / 保全技術 / 非破壊検査 / 構造ヘルスモニタリング / 損傷検知 / 鉄筋コンクリート構造 / 高周波振動 |
Research Abstract |
本課題の最終目標は,『高周波加振に伴う固有振動数の変化を利用した鉄筋コンクリート構造の損傷診断法』の基本原理を実験的に明らかにすることにある。具体的には,寸法10×10×100cmの鉄筋コンクリート試験柱に高周波振動を付与して縦振動モードの定在波を発生させた状態で,横振動モードの固有振動数を測定する実験を実施し,固有振動数の高周波依存性と損傷の関係を実験的に解明することを目的とする。ひび割れの無い構造健全時において軸力を作用させない鉄筋コンクリート試験柱を対象とした昨年度の試験結果によれば,付与する高周波振幅の大きさに依存して横振動モードの固有振動数が変化する,いわゆる固有振動数の高周波依存性が確認された。しかし,これは事前に予測した理論に反する。この問題を追及するため,試験柱脚部の固定方法を見直した追試験を実施した。また,軸力を作用させた状態で固有振動数の高周波振動依存性についても測定した。その結果,主要な知見として以下の1~4を得た。1 試験柱の固定度を増強した結果,無ひずみ状態にある健全な試験柱では固有振動数の高周波依存性が現れないことを確認した。2 昨年度の試験は脚部に損傷がある場合,今年度の試験は脚部に損傷がない場合ともいえるので,試験柱に損傷が発生するとき,固有振動数の高周波依存性が現れるという理論的予想の一部を説明することができた。3 圧縮軸力を作用させた試験柱では,固有振動数の高周波振動依存性が明瞭に確認された。そのメカニズムは構造的に健全な状態でも存在するコンクリート材料のボイド(空隙)の開閉によるものと推察される。4 以上の知見により,鉄筋コンクリート試験柱の固有振動数の高周波依存性を実験によって再現することができた。今後は,鉄筋コンクリート柱のひび割れ損傷と固有振動数の高周波依存性の関係を実験に基づき解明する予定である。
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