2011 Fiscal Year Annual Research Report
高周波加振に伴う固有振動数の変化を利用した鉄筋コンクリート構造の損傷診断法の開発
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21560609
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Research Institution | Central Research Institute of Electric Power Industry |
Principal Investigator |
金澤 健司 (財)電力中央研究所, 地球工学研究所, 主任研究員 (00371435)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永田 聖二 (財)電力中央研究所, 地球工学研究所, 主任研究員 (00432005)
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Keywords | 建築構造・材料 / 構造ヘルスモニタリング / 保全技術 / 非破壊検査 / 損傷検知 / 鉄筋コンクリート構造 / 高周波振動 / 固有振動数 |
Research Abstract |
1995年阪神淡路大震災の発生以降,建物の耐震性に係わる要求性能として,人命を保護するだけでなく,建物を継続使用するための構造性能の確保が社会一般のニーズとして強いことが明らかとなった。このような大地震後の構造性能を把握する技術として,剛性や固有振動数を構造指標とする構造ヘルスモニタリングに関する研究が盛んに実施されている。しかし,既往研究では,健全時と評価時での構造指標を比較する手段を採るため,健全時のデータが存在しない数多くの既設建物に適用できないという問題点がある。 本研究では,鉄筋コンクリート構造を対象として,固有振動数の高周波振動依存性や軸応力依存性を評価し,評価時点のデータのみで成立する構造診断法の基本原理を探索することを目的とした部材実験を実施した。平成23年度は,前年度までに製造した鉄筋コンクリート試験柱(寸法10×10×100mm)と破壊載荷装置,高周波付与装置を用いて,曲げ振動モードに係わる固有振動数の高周波振動依存性,軸応力依存性および振動振幅依存性に係わる実験データを取得した。さらに,試験柱に曲げひび割れによる損傷に与えた後に同様の実験データを取得し,固有振動数の各種依存性と損傷の関係を考察した。その結果,以下の知見を得た。1.高周波振動を付与することで試験柱の固有振動数が低下する現象や,コンクリートが圧縮状態にあるときその低下量は損傷度に依存して変化する現象を確認した。構造上重要な支持部材の内部応力が圧縮状態にあることを考慮すると,後者の現象はひび割れ損傷を診断するための構造指標に応用できる可能性が高い。2.曲げひび割れ損傷を受けたコンクリート柱に圧縮軸応力を作用させた場合に,固有振動数が増加する現象が観察された。この現象は,固有振動数を構造指標とした場合には損傷段階を見誤る恐れがあることを示唆しており,注意が必要である。
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