2011 Fiscal Year Annual Research Report
周辺死角の克服と犯罪抑止を目的とした低輝度分散型街路照明の研究
Project/Area Number |
21560620
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Research Institution | 東京都市大学 |
Principal Investigator |
小林 茂雄 東京都市大学, 工学部, 教授 (20262313)
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Keywords | 街路照明 / 死角 / 低照度 / 分散配置 / 防犯 |
Research Abstract |
本研究で提案する考え方を、岐阜県白川村平瀬地区における街路灯改修計画に反映させ、その効果を検討した。平瀬の街は、幹線道路に沿って主な建物が並んでいるが、必ずしも建物ファサードが連なっているわけではなく、建物の間には隙間があることが多い。はじめに、街路周辺の見通しについての調査を行ない、夜間に空地が認識されている度合いを示した。次に現場での仮設実験を踏まえて、照明計画を行なった。この計画の特徴は、1)個々の光源の光量を低く抑えて分散配置し、低照度でエネルギー消費の小さい光環境を実現すること、2)高いポール灯による照明ではなく建物の軒先や同等の高さに設置し、街並みとの一体感を持たせること、3)路上のみでなく街路周辺の空地(くうち)に光源を設置し、見通しを高めることである。その結果、既存の街路灯よりも発光量や消費エネルギーが小さく、街路の照度レベルが低くなった。街路上の路面照度も顔面照度も平均値が約0.6(lx)程度と整備前よりも低照度となっている。JISの照度基準で定められている最低値を下回るものである。本整備計画では、路上の照度を低く抑えても、小出力で低輝度の光源を分散させることで視認性を確保しようとしたことと、街路の視認性だけでなく街路周辺の見通しを考慮しようとしたためである。さらに、街路周辺の空地などに光を設置したことによって、街路周辺の見通しは向上した。ただし、路上の暗さからくる歩行時の危険や不安感などの問題が指摘された。こうした問題に対して、要因を多角的かつ長期的に検討していく必要があると考えられた。
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