2011 Fiscal Year Annual Research Report
郊外住宅地のマネジメント方策に関する研究-米国MSPの発展的活用の可能性と課題-
Project/Area Number |
21560624
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
北原 啓司 弘前大学, 教育学部, 教授 (30177860)
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Keywords | 街なか居住 / 郊外住宅地 / メインストリート / 買い物弱者 / 住み替え支援 / エリア・マネジメント / コミュニティ・ビジネス |
Research Abstract |
本研究は、地方都市において「街なか居住」施策の推進と同時に進行しつつある郊外住宅地の空洞化に対応する政策として、地域マネジメントの視点から、住み替えシステム構築の可能性を探るとともに、単なる居住者数の復活ではなく地域の存在意義を持続させるための活動の必要性と可能性を、米国のメインストリート・プログラムをモデルにしながら、解明するものである。平成23年度は、日本版メインストリート・プログラムのモデル地区として、街なか通り再生事業が適用されている大館市御成町地区における実践について、昨年度までに引き続き、定点観測的調査を実施した。またその継続の中で、新たに青森県黒石市中心商店街において、同様のプログラムの必要性について地域住民および行政に理解していただき、同様のプログラムをスタートすることに成功した。この実践により、大館市あるいはそれ以前に調査を実施した小田原市の事例が特殊解ではなく、我が国におけるメインストリート・プログラムの活用可能性と課題を明らかにすることができた。 一方で、地方都市に適応した住み替えモデルの推進のための課題と可能性を昨年度に明らかにしたものの、東北の地方都市の場合に単純な住み替え施策では需要を喚起できないという結果が明らかになったことから、日常生活のサポートや買い物支援等、郊外住宅地の持続可能性の向上に向けた先進的施策の実態調査を、盛岡市松園ニュータウンの支援組織および北上市、千葉市等の複数の住民組織およびNPOに対してヒアリング調査を行い、単に空き家を解消するという行政側からの志向ではなく、地域に住み続けていくために必要となる包括的な生活サポートのためのプログラムの必要性を明らかにすることが出来た。それらを団地住民自らがマネジメントする組織がいくつか登場してきており、それらは、コミュニティビジネスとして成立する可能性も大きいことが示唆された。そのためにも、米国のメインストリート・プログラムの適用が極めて有効であることが明らかとなった。
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