2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21560655
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Research Institution | Aichi Institute of Technology |
Principal Investigator |
建部 謙治 愛知工業大学, 工学部, 教授 (10131137)
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Keywords | 地震 / 中小企業 / 防災診断 / 経営 / リスクマネジメント / 企業防災 |
Research Abstract |
近年、中小企業を対象とした総合的な企業防災診断システムの構築とその展開は喫緊の課題である。 本研究は、当該年度の主目的である、防災カルテ、耐震診断、被害予測、被害低減対策マネジメントという一連の流れを持つ簡易防災診断システムの有効性について調査を実施した結果、その有効性を確認することができた。しかし、被害低減対策マネジメントについては、マネジメントを受けたいとする企業が、費用があまりかからないという条件でも半数程度に留まることも明らかとなった。 並行して、企業の防災力の現状を見る防災カルテ調査や、建物や生産設備等の耐震性に関する建物診断調査を実施した。防災カルテによる調査では、「金銭」や「情報」面の対策が低く、「物的対策」や「人的訓練」面が高いこと、そしてハード面が進まずソフト的な対応に留まっている現状もある。建物診断調査では、建物立地の地盤、建物や生産設備等の耐震性などに問題がある企業が約2割程度あり、家具・什器や生産設備に対する予防対策が遅れている。 また、地震動による人の心理学的・生理学的影響に関わる実験を実施した。年齢層別、性別では、心拍、血圧、唾液アミラーゼなどの生理的影響は、高齢者や男性に、また状態不安をみるSTAIなどの心理的影響は若年者や女性に生じやすい傾向があることが明らかとなった。 一方、これまで新潟県中越地震、能登半島地震、岩手宮城内陸地震などにおける建物・設備、生産設備等の物理的被害とその直接的・間接的経営への影響度を分析してきたが、平成22年度には該当する大地震が発生しなかったため、調査・データベース化は行わなかった。
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