2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21560664
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
宮内 貴久 Ochanomizu University, 大学院・人間文化創成科学研究科, 准教授 (10327231)
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Keywords | 大工 / 三輪神道 / 儀礼書 / 由緒 / 建築儀礼 |
Research Abstract |
三輪神道系統の大工儀礼書「番匠十六巻一流之大事」、「日本番匠記」系本の大工由緒書「番匠記」、唯一神道系と推定される「唯一神道上棟次第」の主に三つの儀礼書・由緒書を中心に、その所在調査を西日本を中心に行った。三輪神道系統の大工儀礼書では石川県金沢市の加賀藩大工棟梁を務めた清水家文書、和歌山県和歌山市の鳥羽家文書にあることが確認された。清水家は現在の大手ゼネコン清水建設であり、三輪神道との関係があった点は興味深い。また、鳥羽家文書の「番匠拾八通之切紙」は、(1)寛永15年(1638)と管見では最古の文書であること、(2)根来寺の棟梁家である鳥羽家が所蔵していたこと、(3)「神道番匠之大事」という三輪神道系の文書が文政6年(1823)にも書写されていることが特筆される。唯一神道系では、福岡県福岡市の黒田藩大工棟梁を務めた林家女書にあることが確認された。各藩の棟梁職を務めた家が儀礼書、特に三輪神道系統の大工儀礼書を所蔵していた点は、近世における吉田家の神道支配、中井家の大工支配とは別の側面を探る端緒になろう。
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