2010 Fiscal Year Annual Research Report
伝統都市における都市空間の分節構造に関する研究-日本と台湾との比較-
Project/Area Number |
21560674
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
伊藤 裕久 東京理科大学, 工学部, 教授 (20183006)
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Keywords | 伝統都市 / 都市空間 / 分節構造 / 日本 / 台湾 |
Research Abstract |
本年度は、台湾における伝統都市の分節構造を解明するための現地本調査を2回に分けて実施した。第1回の調査対象は、台北・台中・鹿港・員林・北斗、第2回の調査対象は台北・台南において、現地での街区・街路形態などの都市空間のマッピング調査・ファサードや平面構成など建築物の実測調査、地域コミュニティの変遷や建築の履歴に関するヒアリング調査等を実施した。さらに、都市内社会の分節構造をもたらす磁極として、1)寺廟と2)市場を中心とした調査を実施することで都市空間の分節構造に関する考察を深めている。 とくに1) 寺廟調査では、中国文化大学・市政曁環境規劃学系黄健二教授と同研究室の王章凱講師らの協力を得て台北市大同区の保安宮.孔子廟とその周辺地区(大龍同)の詳細な現地調査と史料収集を実施し、清代からの伝統都市の分節的な都市空間構造の成立と展開過程を解明することが可能であった。その成果の一部は、日本建築学会都市史小委員会主催の都市史シンポジウムにおいて報告した。 2) 市場調査では、自然発生的な廟前市場などから日本統治期の公設消費市場の建設に至ることで都市空間にどのような変化をもたらしたかについて検討した。公設市場が街区形成に果たした役割は、台北・台中・台南等各々の都市において異なり、伝統から近代への市場空間の分節構造の差異を読み取ることが可能であった。 一方、日本の伝統都市の分節構造についても、その成立から近代への展開までを含めて総合的に考察し、成果を「都市空間の分節把握」(『伝統都市-分節構造』東京大学出版会)としてまとめている。また、旧武田氏領内の上芦川(現・山梨県笛吹市)を素材として、中世から近世にかけて交通の要所に成立した関所集落の分節構造の変容過程について文献・絵図史料の分析を通じて解明している。
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Research Products
(7 results)