2011 Fiscal Year Annual Research Report
近代日本住宅史における「田舎」への志向に関する研究
Project/Area Number |
21560677
|
Research Institution | Tokoha Gakuen University |
Principal Investigator |
土屋 和男 常葉学園大学, 造形学部, 准教授 (60333259)
|
Keywords | 建築史・意匠 / 近代和風 / 田舎家 / 益田鈍翁 / 仰木魯堂 |
Research Abstract |
1、前年度までにまとめた木村久寿弥太(三菱グループ総理事)が伊豆河津に建設した別邸について、日本建築学会大会学術講演会で発表した。 2、益田鈍翁小田原別邸・掃雲台の敷地、建築物、景観の復元的考察について、現地調査と資料の読込を進め、前年度に続けてこの結果を発表した。特に邸内に点在していた建造物、とりわけ茶室について、その来歴や変遷の検討、照合を行い、あわせてこれらの図版資料の整理、検討を行った。この考察によって、例えば「為楽庵」「幽月亭」「蝸殼庵」等について、錯綜した伝承や記録を整理できたと考えるが、逆に不明な点も明らかになった。これらについてはひきつづき資料の発掘を行いたい。また、景観の復元的考察としては、建物以外の景物や邸宅・茶室ゾーン以外の敷地も含めて、より具体的なかたちで全体像を提示したいと考えている。 3、「田舎家」の位置づけを通した、近代における「田舎」への志向およびその系譜の解明のために、建築史を基盤としつつ、周辺領域の研究者との意見交換を公開研究会として実施した。パネリストとして水沼淑子氏(関東学院大学人間環境学部教授・住居学)、堀田典裕氏(名古屋大学大学院環境学研究科助教・環境デザイン)、粟野隆氏(東京農業大学地域環境科学部助教・造園学)の3名を招聘した。 4、近代における「田舎」への志向の源流と見られる遺構として、イギリスにおいて現地調査を行った。近代初頭につくられた郊外住宅、特に草葺きの一戸建てを中心とした。調査地はブレイズハムレット(ブリストル郊外)、レッド・ハウス(ベクスレイヒース)、レッチワース・ガーデンシティ、ベッドフォードパークである。これらは近代化にあたりイギリスを範とした日本における郊外住宅の姿にも、間接的に影響を与えていると考える。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の「研究の目的」を達成するためには、大きく3つの作業があるが、このうち、当初の計画以上に進展している部分もあり、やや遅れている部分もある。全体としておおむね順調に進展していると考えられる。
|
Strategy for Future Research Activity |
基本的に「研究の目的」を達成すべく、当初の計画、方法に従って作業を進める。しかし例えば、ヒアリング対象者の変更、成果発表の内容・手段の変更等が生じる見込みである。これらは研究の進行に従い、より適任なヒアリング対象者や、適切な成果発表の内容・手段が見えてきたためである。
|
Research Products
(2 results)