2012 Fiscal Year Annual Research Report
近代日本住宅史における「田舎」への志向に関する研究
Project/Area Number |
21560677
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Research Institution | 常葉大学 |
Principal Investigator |
土屋 和男 常葉大学, 造形学部, 准教授 (60333259)
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Project Period (FY) |
2009-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 建築史・意匠 / 近代和風 / 田舎家 / 益田鈍翁 |
Research Abstract |
1、益田鈍翁小田原別邸・掃雲台の敷地、建築物、景観の復元的考察について、前年度までの成果を日本建築学会大会学術講演会で発表するとともに、現地調査と資料の読込をさらに進めた。今年度は特に地形および邸内に点在していた建造物の、配置図と推測立面図を描き起こし、1/500の模型作製を試みた。この過程において、邸内の地形と土地利用の関係や農業・軽工業の様子が明らかになった。また、益田鈍翁の他の邸宅との関連性を考察し、小田原別邸の位置付けを行った。これらの成果は紀要で発表後、3カ年にわたる論文を再編、修正し、報告書として刊行した。 2、本研究の最終年度における「田舎家」の位置付けとして、「田舎家」に関するこれまでの調査を踏まえ、近代数寄者による茶会記録等における「田舎家」を再度チェックし、彼らがいつごろから、どのようなものを「田舎家」と見なし、それらにどのような可能性を見ていたのかを考察した。近代数寄者の「田舎家」は明治20年代に副次的な茶席からはじまり、大正後期には民家を移築したものが主流になる。このころになると美的にも従来の茶室と異なる評価が定着してくる。「田舎家」の系譜のなかで通底するのは、新しい茶席の様式を、近代数寄者自身が探し、つくるという点であり、建築家による新築の建物を中心とする近代建築史に対して、別のあり方を示している。これらの成果は紀要並びに日本建築学会論文集で発表した。 3、近代の「田舎」への志向を示すヨーロッパにおける遺構として、フランス、ベルギーにおいて現地調査を行った。近代初頭につくられた郊外住宅を実査し、特に草葺きの一戸建てに注目した。これらに見られる饒舌で物語性を含む建築表現は、日本における「田舎家」の姿にも、その先例として通底するものを見て取れる。都市に対する「田舎」の位置付けとして、現在でも示唆的である。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(7 results)