2010 Fiscal Year Annual Research Report
正孔-電子共存型遷移金属複酸化物の熱電材料としての機能特性評価
Project/Area Number |
21560694
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
高橋 純一 東北大学, 多元物質科学研究所, 助教 (20261472)
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Keywords | セラミックス / 廃熱利用 / 半導体物性 / エネルギー効率化 / 熱電変換材 |
Research Abstract |
複数の結晶学的金属イオンサイトを持つ遷移金属複酸化物として2Hペロブスカイト型Ca_3Co_2O_6とダブルペロブスカイトLn(Co,Ru)O_3(Ln:希土類)の単結晶体,および,スピネル多結晶体の作製を試み,合成条件と生成相の関係,ならびに,熱電特性を評価した,炭酸カリウムをフラックス剤として用いたとき,長さ5mm以上の針状Ca_3Co_2O_6単結晶は保持温度930℃,保持時間40h,冷却速度-10~-100℃/hの条件で得られた.保持時間が30h以下では長さ1mm程度の小型単結晶しか得られなかったことから,Ca_3Co_2O_6単結晶は坩堝内の部分的な温度差と対流による溶質拡散により成長していると考えられる.辺長1mm以上のLn(Co,Ru)O_3単結晶は炭酸カリウムフラックスの常用温度範囲(概ね900~1000℃)では得られてなかった.大気中加熱による固相反応法でCo_<3_x>Ru_xO_4スピネル単一相が生成する条件は,焼成温度900℃~1000℃、Ru量0.50≦x≦0.70の温度・組成が限られた領域であった.Co_<3_x>Ru_xO_4の電気伝導度はアレニウス型の温度依存性を示し,室温~900℃の温度領域で熱活性化したキャリアが支配的な半導体的電気伝導を示した.Co_<3_x>Ru_xO_4の室温~900℃におけるゼーベック係数は正の値をとり,ホールが主な伝導キャリアのp型半導体であった.ゼーベック係数の温度による変化は単調ではなく,約120℃と約500℃に極大を持つbimodalであった.これらの複雑な変化は従来の(Co^<2+>)[Co^<2+>Ru^<4+>]O_4や(Co^<2+>)[Co^<3+>Ru^<3+>]O_4構造では説明できず,結晶中に2価~4価のCoイオン,および,Ruイオンが正孔,および,電子として共存し,電気伝導に寄与していると考えられる。
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Research Products
(4 results)