2009 Fiscal Year Annual Research Report
遷移金属酸化物微粒子の局所構造制御とイオン機能の発現に関する研究
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21560699
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
中村 浩一 The University of Tokushima, 大学院・ソシオテクノサイエンス研究部, 講師 (20284317)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森賀 俊広 徳島大学, 大学院・ソシオテクノサイエンス研究部, 教授 (90239640)
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Keywords | Li^+イオン拡散 / メカニカルミリング / NMR / 電気抵抗 |
Research Abstract |
本年度は、LiNbO_3単結晶(定比組成、コングルーエント組成)およびオリビン系リン酸リチウムやリチウム遷移金属酸化物にメカニカルミリング処理することで生じる局所構造とLi^+イオン伝導の変化についてXRD、SEM、TEMおよびイオン伝導度測定の結果から議論した。 圧電体LiNbO_3に対してエタノールをミリング媒体として用いた場合、ミリング処理と試料の乾燥を繰り返してのべ50時間にわたりミリング処理することで、一部を不完全ながらガラス化することができた。SEMおよびTEM測定ではミリングにより幾重にも折りたたまれたLiNbO_3微粒子は、微粒子内に多量の空隙を含む構造を持つことが分かった。^7Li NMRスペクトル測定の結果は、LiNbO_3とLiTaO_3のいずれにおいてもミリング時間の増加に伴ってLi^+イオンの運動によると考えられる先鋭化が観測された。拡散状態にあるLi^+イオンの割合は40時間のミリングによりLiNbO_3で20%、LiTaO_3で10%程度であった。しかし、LiTaO_3では100時間にわたるミリングでも15%程度のLi^+イオンしか拡散状態に移行しなかった。拡散状態にあるLi^+イオンの割合はLiNbO_3の場合に比べLiTaO_3の場合半分程度であり、LiTaO_3ではLi^+イオン拡散に対するミリング効果は小さいといえる。 オリビン系LiMPO_4(M=Mn,Co)の電気伝導測定ではシングルイオンのデバイ緩和モデルによる解析から、ミリング処理にともない容易に拡散しやすい環境が実現される。また、ミリング処理により^<31>P NMRのケミカルシフトの変化が観測され、局所構造がミリング時間とともに変化していることが分かった。また、試料内の遷移金属MnとCoの違いによりケミカルシフトの変化の様子が異なり、遷移金属をとり囲む酸素多面体の局所的な変形に差異があることが分かった。
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Research Products
(7 results)