2011 Fiscal Year Annual Research Report
遷移金属酸化物微粒子の局所構造制御とイオン機能の発現に関する研究
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21560699
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
中村 浩一 徳島大学, 大学院・ソシオテクノサイエンス研究部, 講師 (20284317)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森賀 俊広 徳島大学, 大学院・ソシオテクノサイエンス研究部, 教授 (90239640)
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Keywords | Li+イオン拡散 / メカニカルミリング / NMR / 電気伝導度 / 電気抵抗 |
Research Abstract |
本年度は、AgNbO_3、NaNbO_3、リチウムマンガンスピネルおよびオリビン系LiMnPO_4にメカニカルミリング処理することで生じる局所構造とLi^+イオン伝導の変化についてMAS-NMR、イオン伝導度および誘電率測定を行い、次のことが明らかになった。1.AgNbO_3のAgサイトにLiを5mol%置換した系では準安定なLiサイトが出現し、それらを介した約13%のLiイオンが運動状態にあると考えられる。Liを15mol%置換した系では10hのミリングによる結晶構造への乱れの導入により、置換されたLiの中で50%を超えるLiイオンが可動状態へ移り、結晶構造が著しく不安定化することが明らかになった。2.2つの結晶学的に異なるサイトNa(1)とNa(2)を持つNaNbO_3に10hのミリング処理することで新たに5ppm付近に異なるピークが観測され,Na(1)とNa(2)とは異なる準安定なサイトの形成されていることが分かった。Na(2)サイトの非対祢パラメーターはミリング時間の増大とともに変化していることから、5ppmのピークはNa(2)サイト周辺の局所構造の変化に関連していると考えられる。3.LiMn_2O_4においてはミリングにより電気伝導度が変化し伝導度の角周波数依存性は単純なデバイ緩和に従わない。活性化エネルギーはミリング時間の増大にともないわずかに増大した。数Å程度の空間的な広がりをもつ活性化エネルギーの構造の変化がイオン拡散挙動と密接に結びついていることを明らかになった。4.Al,Gaを置換したLiMn_2O_4におけるミリング処理はAl置換ではAlとLiのサイト間の移動が起ったと考えられるが、Ga置換ではGaとLiのサイト間でイオンの移動は起こっていないと考えられる。5.LiMnPO_4においては、ミリング時間の増加にともないピーク強度が減少し、本来のピークの高周波数側に新たなピークの出現が確認された。これはPO_4四面体の局所的な環境の変化に関係していると考えられる。
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Research Products
(7 results)